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『「みなさん、おはよう。わたしが、きょうからみんなの先生ですよ」と新しい先生がいった。時間はちょうど九時だった』
短い物語である。
たぶん、題名どおり「23分」くらいで読み終えることができるだろう。
『物語は午前9時に始まり、9時23分に終わる。一つの国が敗れ、占領され、教室に新しい教師がやってくる。そのクラスでの23分間のできごとがこれである。(訳者あとがきより抜粋)』
まるで懐の中に潜り込んでくる仔猫のように、幸福な気分のままに『洗脳』はこどもたちを侵してゆく。
それは精巧なシステムである。
北朝鮮ってこんな感じ・・・?
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「23分の奇跡」というタイトルよりも,「23分の恐怖」というタイトルが似合いそうな本でした.
とにかく,怖い.
人ってこんなに簡単に考え方を操作されてしまうんだ・・・と思える一冊でした.
日本語訳にちょっと不満でしたが,後ろに原文が載っていたのがよかったです.
原文も結構優しめだったのでサクサクと読めました.
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戦勝国による教育現場での洗脳シーン。子ども相手だからか?教師が19歳だからか?幾分説得のロジックは甘い。というか甘すぎる。しかし僅かな時間で子どもたちの好意を獲得してゆくフットインザドアテクニックはなかなかのものだし、論理のすり替えの妙も味わえる。主題が何処に在れ設定はとても面白いと思う。また翻訳が青島幸男というのも興味をそそる。訳文と共に原文も載っている。
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戦争に敗れ、占領された国の学校に新任教師がやってくる。新任教師が23分間で子供たちを洗脳していく。
この本は「茶色の朝」という本に続いて二番目に皆に読んでほしい。
30分ほどで読める本だけど、いろんなことを考えさせられる。
どれだけ子供たちの考えを変えることが簡単か。
どれだけ教育者が子供たちに影響を与えるか。
マインドコントロールの恐怖。
23分間の恐怖とタイトルを変えてもいいんじゃないかと思うぐらい、読んでいてゾッとする。
国旗をはさみで切って、子供たちに配るシーンなんかは本当に鳥肌が立つほど怖い。
教育者、あるいは教育者を目指す人には一度読んでほしい。
「教育者」=「身近な洗脳者」であることを知ることができる一冊
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■洗脳はこのようにして行われるのか、と思った。
■反発が大きければ大きいほど従順になるものだと思った。
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違う話だと思って気軽に手に取ったら、恐ろしい本でした。
子どもを導く人の責任、教育の怖さを大変感じました。
暴力を使わず人を従わせるのは、子どものうちからこのようにしてマインドコントロールするのですね。このマインドコントロールをとくにはどのくらい時間が必要なのか、あるいはとけるのか・・・
このような状況になった時、自分は正しい判断を下せるのか?
短い本なのにスゴイです。
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新任教師が教壇で挨拶をして、ものの23分の間に子供の心にある影響を及ぼすお話。
本当に23分以下で読める至極短いお話の中に、おぞましい事態が描かれている。明るく朗らかな光のあたる教室にいるのに、足元からじわじわと違和感がのぼってきます。
このじわじわを感じられるのは、「人の心を操作する」という戦法があることを知っている大人だけなのかしら。子供も、感じるかしら。私、子供のとき、こんなじわじわ感じられたかしら。
a teacher affects eternity; he can never tell where his influence stops,という言葉を思い出した。元々は、生涯の師に出会えた作家が書いたポジティブな言葉だけれど、そうか、この言葉はそっくりそのまま、怖い意味にもなるんだ。
支配されていることを意識させないまま、支配すること。とても怖いことのように思えるけど、身近です。大人も子供も、とても身近な話です。
最後に、若い教師が感じた温かさを思うと、ぞっとする。
子供向けの言葉で書かれているので、子供と一緒に読んで考えると、なお良いかもしれない。
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タイトルから連想していたのとは違う、めちゃくちゃ怖い小説だった……! 人(子ども)というものは、かくも簡単に考えを変える……変えさせることができるものなのだ、という。
いや、怖いというのは、自分が実際にこの小説の「新しい先生」に近い立場にいるせいもあり――― 実際、自分の言動が「生徒」に与えたり、及ぼしたりしているであろう「影響」を考えて、その責任に怖くなってしまうこともあるので――― まあ、そのためもあるのだろうけれど。
教育というだけでなく、子どもの前に立つときに、「大人」であることについて考えざるを得ない一冊。
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教育・洗脳について考えないといけない本
今の学校教育においてこれが起こってない・起こりえないと何故いえるのか?
自分がそうされていない・そうなっていないと断言できるのか?
警鐘としてしっかりと受け止めるべき内容です
受け継いできた伝統や文化について上っ面の理解で丸暗記してきたからというのではこの本の国旗のようにバラバラに分解されすり潰されてしまうのでしょう
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短編が好きです。
シンプルな構成や言葉で印象に残ることが多いからです。
午前9時、戦勝国の教師が7歳の子ども達のクラスにやってくる。
そこから始まる23分間のお話。
23分後、子ども達の心はどのように変化しているのか。
タイトルに「奇跡」とあるのでつい暖かい物語を想像してしまいますが、教育の怖さや人間の心の危うさが詰まっている話です。
以下引用。
『じぶんの国を好きになるのに、こっきがなければだめかしら。
たとえば、みんなはいい子でしょ。みんな、じぶんをおもいだすのに、こっきみたいなしるしがいるかしら』
(中略)
『こっきがとてもだいじなものだとしたら、みんなですこしずつ、もっていたらどうかしら』
(中略)
『するとダニーがいった。「はさみがあれば、先生に切ってあげるよ」』
メンタリストDaiGoからGHQのウォー・ギルト・インフォメーションプログラムまで、「人の心を操作する」話はいつでも身近にあり示唆に富んだ小説です。
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…こわいなぁ。
子ども相手とはいえ、こんな風に”これまで”を壊してしまうとは。
短編だけど、なんだか妙に「残る」なぁ。
英文も載っていて、なんだか少し得した気分。
電車とかで英文ページを読んでたらカッコいいかなぁ。
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たった23分間、そんな短い間でも人の価値観は変わってしまう。ただ一つ明らかなのは価値観、あるいは歴史観もそうだと思うが、常に勝者や強者の論理で塗り替えられていくこと。それが分かっているか分かっていないかで世界の見方は大きく変わってくると思う。いずれにせよ、もっとも恐ろしいのは寛容のない一義的な価値観ではないかな。
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どんな奇跡が起きるのだろう・・ と読み進んでも
何も起きない
でも、なんだか嫌な感じがするな
良い先生らしいけれど、なにか変な気がする
前の先生は権威主義的だったんだな
なんて ぼんやりと読んでいくのだけれど
特に事件はなにも起こらず、クラスもまとまっていくみたい
今度の先生が良い先生なのか、あまり良くない先生なのか
判断できないまま、妙な違和感を抱いたまま・・
あとがきを読んで うなった。
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【本書を読んだ目的】
男爵的「年末年始に読めるおススメ本」http://different-dimension-sedori.com/blog/?p=1107 のリストにあった本。
たぶん洗脳に関する本だと思いながら・・・。
【感想】
サクッと読める本。
ついつい若い女教師のどこが戦略ポイントなのかを考えつつ読んでしまう。
日本で起こったアレやコレやの洗脳事件を思い出したり。
訳が青島幸男にはちょいと驚き。
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本の紹介を見て、欲しくなって購入。期待して読んだ割には…というところはあるけれど、教育の力やその在り方についてシンプルに問題提起しており、時々読み返したいと思いました。視野の狭い教育者にならないために。