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紙の本
最高権力者にモノ申す中野正剛。
2010/11/12 06:57
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中野正剛という人物がいたことを知る人は少なくなった。軍事独裁者である東條英機に言論で立ち向かい、弾圧の末に抗議の自決をした政治家である。東條べったり、茶坊主だらけの中、正面から反対したが、その反論が朝日新聞に掲載された「戦時宰相論」である。その「戦時宰相論」を書かせたのが朝日新聞の緒方竹虎だが、この緒方の名前も歴史の彼方に消えかかっている。2・26事件で青年将校が朝日新聞を襲撃したとき、青年将校に素手で立ち向かった新聞人である。後に、政治家に転じて吉田茂の幕僚になるが、病に倒れてしまったことが惜しまれる。
中野、緒方の両名を竹馬の友と呼ぶ人がいるが、盟友であり、親友でもある。そういった関係の緒方が書いた中野正剛論だが、一読すると、批判ともとれる言辞が多く目につく。少しは良いことを書いてくれよと言うかもしれないが、反面、知りつくしているからこその言葉の数々となっている。
中野正剛の葬儀には東條英機による参列者に対する妨害、圧力があったにも関わらず、2万人が集まった。そこで緒方は「貴様、死んで東條に勝ったぞ!」と叫んでいる。葬儀は、ある意味、独裁者東條に対する合法的抗議集会でもあった。
中野正剛という人物、一面、理解しにくい人物であるが、その中野を最も理解していた緒方の筆運びは流石としか言いようがない。暗黒の東條軍事独裁の中、命がけで対抗した政治家がいたこと、忘れてはならないだろう。
玄洋社は軍部の手先と混同している評論家がいるが、中野正剛、緒方竹虎、ともに玄洋社員であることが知られていないのは残念に思う。
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