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西暦2123年の太陽系を舞台にしたこの物語は、ある意味でガンダムの世界に似ている。もちろん、巨大なモビルスーツなどは登場しないが、印象的な登場人物が次々の見せ場を作り、むなしく散っていく。このむなしさがこの物語の奥底にある。
それにしても、どんどん殺すものだ。読んでいてびっくりしてしまう。しかし、それがこの物語の大きな意図なのだろう。最後の8行の静寂が、この大冒険活劇のすべてを包み込んでしまう。ため息と共に。
2006/5/30
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第2次外惑星動乱勃発記念、第1次外惑星動乱をたどる祭り!
外惑星動乱集結から20年の天王星の衛星エリヌス。作品発表時にはまだ到達していなかったボイジャーからの天王星の写真を見て、エリヌスの天の半分を覆うその光景を想像するとまた格別!
航空宇宙軍史はSFではあるけれど、宇宙に進出していった人間の意識の覚醒や変化は描かれない。
そこにあるのは、地表で繰り返されてきた利権争い、搾取、謀略といった歴史の冷たい延長。本来なら英雄となるようなサイボーグとなった戦士も使い道がなくなって、凍りつくような地下居住区にひっそりと隠れ住む。宇宙探査への大きな目的も自然の力によって達成されないという以前に人間同士の意識の前に可能性を閉ざされてしまうという悲しさ。
燻し銀のような登場人物たちが必死に抵抗しても歴史のうねりのなかでは虚しいばかり。太古からの天王星の光に照らされた地味ながらハードな物語のラストが胸にしみます。
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とてつもなく終盤が切ない作品。
ある人物とのつながりが切なすぎるのです。
ある条件下になったがゆえに
彼は愛するものと別れなければなりませんでした。
作品としてはSPAを再起を狙う
台頭してきた急進派と航空宇宙軍との
エリヌスの攻防戦となります。
急進派は結局、
エリヌス奪還を急ぐあまりに
判断を重ね重ね見誤ってしまいましたね。
そして、SPA内にもどうやら、不安因子が
いたようですよ?
静かな文章で淡々と語られる
戦いの物語。
その壮絶さは主要な人物が
一人、また一人倒れていくさまから
容易に推測がつくことでしょう。
だけれども、最後は飛び切り切ないね。
解決法は、あれしかなかったんだろうね。