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ネビュラ章、ヒューゴー賞を取ったSF短編集。『ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?』という話が印象的。
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某掲示板で評判を見かけたので、古本ながら購入してみたが……。うむ、硬質なSFっちゃあそうなんだろうけれど、最近は“いわゆるSFファン”の喜びそうなSFってものをとんと読みつけなかったためか、今一つ面白いと思えなかった。これは単純な嗜好と慣れの問題かもしれないんだろうけれど。
とはいえ決して「全然面白くなかった」とも言えないんであって、冒頭の他作家の献辞にもあるように、上質の物語ではあるのだと思う。
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好きな作家のひとりである。名作の誉れが高い短編集なんだが、どうも乗り切れなかった。こっちがSF食傷気味になってきたためなのか、テーマが性にまつわるものが多いからなのか。
「汝が半数染色体の心」「エトセトラ、エトセトラ」「煙は永遠にたちのぼって」「一瞬のいのちの味わい」「ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?」「ネズミに残酷なことのできない心理学者」「すべてのひとふたたび生まるるを待つ」と続くのだが、有名なのは「ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?」である。タイムスリップした未来の地球は女だけだった!って夢のようなストーリーだ。
でも、どれも感銘を受けなかったのは読み手のイマジネーション不足なんだろうな。いずれ再読しよう。
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SF短、中編集。なのに全く軽くないのは、それだけ物語が詰まっているからに他ならない。少々難解で、重厚な作品だと思う。フェミニズムを扱った作品が多いような印象を受けたけれど、後々見返してみると、特にそんなことは無かった。恐らく「ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?」が強烈だったからだろう
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明確に内容を紹介するのが困難な本です。
だからといって悪い本ではなく
難解というわけではないのです。
ただし、明確な軸のある作品ではないということ。
基本的にはきつい風刺が
出てくる作品が多いです。
人というものの存在の脆さや
本能の脆さなど…ちょっときついかな。
ですが、読者を引き込む特有の文章力は
一流でしょう。
それに昔の作品なのに
目的は違うものの、
今よく使われる道具の名前が出てくるのには
一読に値します。
雰囲気を味わう本です。
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「ヒューストン、ヒューストン聞こえ るか」目当てで読んだが、それ以外 の、性を超越した二編に戦慄した。な んでここまで性を踏みにじり、そして 高尚なものにすることができるのか。
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この中では『ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか?』が一番有名だろうか。
ティプトリー作品全般に言えるが、かなり皮肉と風刺がきいた中短篇だった。
『ネズミに残酷なことのできない心理学者』と『すべてのひとふたたび生まるるを待つ』が好き。
序文はル・グィン。
それにしても、初期は覆面作家で、女性だったと誰も知らなかったことには必ず言及されるのね。当時はそれだけ衝撃だったんだなぁ……。
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「汝が半数染色体の心」
「エトセトラ、エトセトラ」
「煙は永遠にたちのぼって」
「一瞬のいのちの味わい」
「ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか」
「ネズミに残酷なことのできない心理学者」
「すべてのひとふたたび生まるるを待つ」
「汝が半数染色体の心」
相互の生殖能力を「人間」かどうかの定義とする認定官が、惑星エスザアを訪れ調査をするのだが、そこでは都市に住むエスザアンが地方のフレニを虐待しているようだった。
何か重大な謎が隠されていることが示されながら進む物語であり、真相が判明する場面は衝撃的。「純粋な男」「純粋な女」は存在するのか?
「煙は永遠にたちのぼって」
最初の場面、凍った湖でカモを撃とうとする少年の姿が鮮烈で、それ以外がもうあまり記憶に残っていなかったり。少年の高揚した心や自然の描写がとても良かった
「ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか」
タイトルだけはよく目にしていた。ようやく読めた一編。
三百年後の宇宙で、女だらけの宇宙船に救出された男たち。すべての男を代弁したという言葉が、女に対して男がよく言う言葉に思えた。
主人公が、男を余計者あつかいしなかったという「むかし知っていた女たち」に会いたいと願うが、それもまた男たちにとって都合のいい姿しか見ていないのか。
実際のところ、男女が分離されたまま時が過ぎたら、ここまで差は出来てしまうのか?
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不肖鴨、SF者人生ン十年を過ぎてそれなりの数のSFを読んできた自負があります。が、今でもティプトリーは読むのにある意味「覚悟」を必要とする作家です。数多いるSF作家の中でも、SFというフォーマットを用いて自分の表現したいことを最高の解像度で見せつけることに掛けては群を抜いているティプトリー。解像度が高過ぎて、時々「どうしても合わない」作品もあります。著しく読む人を選びますし、SF初心者にはまずおススメできません。
この短編集は、そんなティプトリーの作品群の中でも、特に作家本人の価値観が表現された作品が多いと感じました。モノによっては「露悪的」とすら感じてしまうぐらいで、ダメな人はとことんダメな短編集だと思います。やはりインパクトがあるのは、ティプトリーの特徴の一つでもある「性」をテーマにした3作で、よくもここまで性を(それすなわち「生」を)「単なる機能」として描けるものだと驚愕すらします。
全体的に暗いトーンの話が多く、読者を突き放すような独特の筆致も相まって、読後感は結構どんよりした感じ。決して面白くないわけではないんですが、それなりに気力が充実している時に読まないと、いろいろとぐったりしそうな本です。SF玄人向けですね。
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ファーストコンタクト的な中短編7つを収める。過激でどこか突き放した冷たさがある作品が多い。予定調和とか全然無視なので最後まで緊張感があって面白い。「一瞬のいのちの味わい」と「すべてのひとふたたび生まるるを待つ」が良かった。
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名作だが読者を作品が選択する問題作
表紙 8点上原 徹
展開 8点1978年著作
文章 8点
内容 800点
合計 824点
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ジェームズティプトリージュニアはすごいなぁ。いつもそう思う。何がすごいのか? それは命に関する緻密な描写と随所に感じられる懐の深さ。
大抵のSF作品は時が流れるにつれて時代遅れになる傾向にあるんだけど、彼(彼女)のSFは生命に関するとても根源的な要素が描かれているので、今でも、多分100年後でもその発想力に度肝を抜かれる。例えるなら、アガサ・クリスティのミステリがいつの時代でも通用するのとおんなじ感じ。
好きな作品は下記の通り。
汝が半数染色体の心… 染色体の単数体(XかYのみの1つの染色体を持つ)フレニと、その倍数体であり単体生殖をするエスザアンの奇妙な関係が描かれる。彼らは一世代ごとに交代し、お互いに親と子の関係(フレニがエスザアンを生み、エスザアンがフレニを生む)である。
主人公たちは調査隊として彼らの星に赴き、彼らが「人類」か否かの認定に、彼らと交配が可能かどうかを基準にするんだけど、この場合フレニが人類でエスザアンは違うとなるのが面白い。また、フレニには、単体の染色体の持ち主ならではの魅力(混じりけなしのXまたはY染色体の顕現)があるという。どんな姿なのか見てみたい!
一瞬の命の味わい… 人類自体が精子で他の星系にいる卵子に飛び込んでいく存在でしかないという話!
もうすごすぎる!どうやったらそんなの思いつくんだろう!? エヴァとかもそういう内容だよね。そしてその本題に入るまでの宇宙船の中の人間関係も緊張感があり、退屈しない。
解説や前書きで、この作品群がジェームズティプトリージュニアが女性であることが判明しつつある時期のものであることが触れられている。そのせいか、性にまつわる話が多く、作品の中で女性の存在感が強くなっているように思える。
ジェンダーフリーが比較的進んだ現在では、まえがきのル・グウィンの言うとおり、これらは本物の作品で、そこに作者の性別なんて関係ないと思うし、そう考える人の方が多いのでは。とはいえ、上記の作品の傾向に加えてバッドエンドが多いことから、当時の作者の気持ちや周囲からの反応を想像してしまう。
でも、そのペテンにかけたこと自体が、作者自身の魅力になってるのだから、やっぱりジェームズティプトリージュニアはすごい!