投稿元:
レビューを見る
子どもと図書館に行った際、ふと目に止まった「絵巻 平家物語」です。なんと1989年刊行。
視聴率で色々言われつつも頑張ってる大河ドラマ「清盛」の絵本版です。
8巻は清盛の弟で熊野育ちの「忠度」(ただのり)です。
武士としても、また歌人としても優れていた忠度は、平家が落ちる際、歌の師に将来、勅撰和歌集を作ることがあれば自分の歌を入れてくれるよう頼みます。
これにより憂いなく、戦いに身を投じ死んで行きます。すぐれたが故、平家が落ちる理由もその後の天下の行方も予想出来た。そのうえで、自分がやるべき事を成した。
「故郷花」(こきょうのはな)という歌が勅撰和歌集に残されました。
「さざなみや 志賀の都は あれにしを むかしながらの 山ざくらかな」
(かつては盛んだったが、いまは荒れ果てている志賀の都よ。しかし、そんなことは知らずに春が来れば昔と変わらず咲いている山桜よ。)
むかし天智天皇が開いた志賀の大津京のことです。
自然に対する人間の儚さをさりげなく歌った優れた一首と評価されました。
この歌は、作者が読み人知らずとして載せられましたが、この「平家物語」により忠度作を分かり、更に多く知られることになったそうです。
絵巻「平家物語」も残り1巻になりました。この絵巻シリーズ、読みやすくて「当たり」でした。