紙の本
<たまには思い切り生きた人間の残した言葉に耳を傾けたまえ>
2003/05/20 17:36
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まんでりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
物事の表面を飾る美名という仮面を引き剥いで、その下に潜む醜怪なる人の業を炙り出す辛辣なフレーズのかたまりを紡ぎ出したこの人物は文武にわたる類稀なる実践者でもあった。
友情や友人についても多くの言葉を残しているが、たとえば、「友達の友情が冷めたことに気づかないのは、友情に乏しい証拠である」(169ページMS66/590)などと言う。
友情は熱量に関係し、同等の熱量を持つもの同士の間に成立することが前提なのである。
それを「冷める」「乏しい」という否定表現で語るのがこの人の特徴である。
青春を充分に燃焼し尽くした大人の表現である。
だから社交界においても通用する言葉を持ちえたのであろう。
だが、いくつになっても大人になりきれない私にはこの本はいつまでたっても苦い薬のようなものなのである。
紙の本
本当に中世の著書?
2019/11/28 22:00
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投稿者:うみべ - この投稿者のレビュー一覧を見る
書かれたのが17世紀とは思えないほどの内容。さすがに面白すぎて、普段は電子書籍を愛用する私も、これだけは紙の方を買った。フランス人の皮肉好きな気質って、この人がルーツなのかと思ってしまいますね(笑)
紙の本
偽善と欺瞞が渦巻く世の中
2018/10/30 07:51
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投稿者:masaya - この投稿者のレビュー一覧を見る
フランスの貴族である、ラ・ロシュフコーの箴言集。
人間の本質に対する深い洞察が、一つ一つ簡潔に凝縮されている。
歯に衣着せぬ物言いで、建前を取り除いた人間の本音の部分に迫る。
われわれの美徳はほとんどの場合、偽装した悪徳に過ぎない。
社会というものが、いかに不条理にできているかがよく分かる本。
紙の本
17世紀に著されたフランスのモラリスト文学者による最高峰の作品です!
2020/05/02 10:51
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、17世紀に活躍したフランスの貴族であり、モラリスト文学者でもあったラ・ロシュフコー公爵フランソワ6世が1659年から執筆したもので、刊行されたのは1664年とされている一冊です。ロシュフコーは、名門貴族の生まれであり、多くの戦いに参加した後、同書を執筆したと言われており、この中に見られる辛辣な人間観察には、リシュリューと対立して二年間の謹慎処分を受けたことや、フロンドの乱でジュール・マザランと対立したことなどで味わった苦難が反映されているとも言われています。宗教的にはジャンセニスムの立場に近かったと考えられています。同書には、私たちがよく知っている有名な、「われわれの美徳は、ほとんどの場合、偽装した悪徳に過ぎない」といった名句が書かれており、人間の真実を追求するフランス・モラリスト文学の最高峰です。
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友人に「ビアスに興味あるならこっちもオススメするよ」と言われ借りた本。
普通に面白かったです。ただ全部には納得がいかないかなー…。まぁ個人的に論語よりかは面白かったです。が、内容がウロ覚えなので☆4つ。
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面白い。
やっぱり格言とか、みんな好きなのね。
短いから読みやすい…というのもあるけど、試行錯誤した苦労のあとも窺えていい。
人間の思考回路なんぞ、ついぞ変化しとらんね(笑)
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フランスの貴族であり武人でもあったラ・ロシュフコーの短い警告文(箴言)を集めた本。人間の本質に対する深い洞察が、非常に短い文章の中に凝縮されている。建前を取り除いた、人間の本音の部分に気づかされる。
人間理解のために、人間の美徳を過大評価しないためにお勧め。
ひとつひとつの箴言にはつながりがないので、ふとした空き時間などに読むのにも良い。
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「人間性を剔抉して最も奥深く踏み込んだ残酷の書。読書の痛苦は、この薄い一冊と沈黙の対話を続ける忍耐に尽きるかも知れない。」(谷沢永一『読書人の悦楽』253頁)
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【メモ】
高校の図書館で見つけて以来何度も借りて読んだのを思い出した。
当時のは深緑色の表紙で、この岩波版よりもっといかめしい感じだったなぁ。
今手元にないので、探してまた読んでみよう。
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人間関係に悩んだときに、悩んでいないときに
フランス人はいつも答えを用意している。504編の箴言、格言や警句を読んで、唸らない人はいないだろう。17世紀にして答えは出ている。何も怖がることは無い。
「人は決して自分で思うほど幸福でも不幸でもない」
1998年、読了。結婚や仕事に悩んだときに出遭った。
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ゲーテの格言集と違って人間の自己愛や虚栄心などの負の面について扱った本。人間の本性に深く切り込む本。
露悪趣味というか、ペシミズムが全体的に流れている。人間の負の側面の真実を的確に現しているのは確かだが、「それでどうした?」という思いがどうしてもぬぐえない。
「批判してれば偉くなった気になれる」という言葉がさすように、言うほど含蓄があるかどうかは疑わしいのが怖いところ。
自分がペシミズムを嫌うのはそういった「いいっぱなし」「非生産性」という面が嫌いだからだが、たとえ生産性があったとしてもそれは「成長」や「資本主義」に毒された現代人の価値観に根ざしたものでないかと思うと一概に批判も出来ない。時代によっては悲観こそが美徳だった時代があるかもしれない。
そして著者本人が報われない軍人だったらしいが、それが少なからずこの本の内容に影響を及ぼしていることは疑いがない。著者本人の思想・世界観が年齢によってどのように変遷しているかが知れれば、もっとこの本に深みが出てくるかもしれない。
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1613〜80年代に生きたフランスの公爵。名門中の名門
貴族で、時の権力争い、国家闘争など人間のきたない部
分をたくさん見てきたんだろうな。人間の裏の裏をズバ
リ暴きだす!昔も今もどの国であろうと人の本質は一緒。
人の本音を知りたいあなたへ!
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▼3 つの共感ポイント▼
■われわれの美徳はほとんどの場合、偽装した悪徳にす
ぎない(P11)
■精神の強さとか弱さというのは当を得ない言い方だ。
それが実は肉体の諸器官の状態の良し悪しに過ぎない
からである(P22)
■自分は人に好感を与えるという自信は、えてして人を
不愉快にする決め手になる(P163)
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・我々の憎悪があまりに激しくなると、憎んでいる相手よりも下劣になる
・我々はみんな、他人の不幸を平気で見ていられるほどに強い
・薬が調合されるときに、そこに毒が入るように、徳が組み合わされるときに、そこに不徳が入る。知恵は徳と不徳をうまく調合し、それを人生の不幸に対して役に立てる
・愛の喜びは愛することにある。相手に抱かせる愛情によってよりも、自分の抱く情熱によって幸福になるのである
・物事をよく知るためには細部を知らねばならない。そして細部はほとんど無限だから、われわれの知識は常に皮相で不完全なのである
お気に入りはこのあたり。
どれも辛辣で切れ味抜群です。
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「われわれの美徳は、ほとんどの場合、偽装した悪徳に過ぎない」
ドキッとして借りた。
いくつか、唸らせるものがあったが、全部読み通すには長過ぎる。
よくもこれだけ格言を思い付くことができるものだ。と感心。
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的を射ているが故、ともすれば批判の対象となるようなおいそれとは口にできない箴言の数々。厭世的かつ理性的な人間批評に唸らせられます。
ただの「人情家・人格者」として無遠慮・無思考に人間を礼讃することはけして無かったロシュフコー。その理性的な格言は兎に角一節読めば間違いなく感服させられます。