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文庫 第30回読売文学賞戯曲賞 受賞作品
みんなの評価3.7
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評価内訳
2012/09/24 23:31
投稿元:
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平家物語を題材にした戯曲で、平知盛と源義経を主人公として平家の滅亡を描く。著者は戦前に東大英文科でシェイクスピアを専攻したゴリゴリのインテリ。確かに『アントニーとクレオパトラ』を彷彿とさせる場面がある。 900年ばかり前に壇ノ浦で平家はあらかた滅亡したわけだが、合戦の趨勢を決した要因として壇ノ浦の潮流がある。本書ではこの潮流を生み出す原因である月、すなわち天体の運行を運命になぞらえ、自然を前にした人間の無力、無常を描く……というのが教科書的な評になるだろう。 出版年は1978年で、ちょうど『限りなく透明に近いブルー』が出てきた頃で、大きな物語がぶち壊れていく様を前にした戦中派の断末魔、という読み方ができるかもしれないが、単に科学主義を前にしたロマン主義の無力感、といった読み方が素直なのかもしれない。脳筋義経と、平家の滅亡は運命なのだろうか云々とぐじぐじ考えこんでしまう知盛の対比が印象的である。
2013/12/15 16:47
平知盛を主人公とした戯曲。 1978年に雑誌『文藝』に発表された。 平知盛と阿波民部重能のやりとり・関係が面白かった。 人間の思惑を一切考慮することなく無情に変化する自然と、 源氏と平家との争いとが対比されている。 もしまた上演される機会があるなら観に行ってみたい。 格調高そうな舞台になるのだろうと思われた。 現代だとかしこまって古めかしくなってしまうのだろうか?