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紙の本
「地球に守られている」ということに感謝の心を
2005/11/28 22:55
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あう - この投稿者のレビュー一覧を見る
何度読んでも淋しい気持ちになり、とめどなくなく涙があふれてくる。けれども、最後にはほんのり温かな気持ちをくれる物語です。だから、淋しくなり泣くはめになることが分かっていても最後に訪れるあのじんわりとした温かさを感じたくて何度も読み返してしまうのかもしれません。
12歳の少年ユーリは、遠足の朝、オートバイにはねられて広場の”銀河盤”に衝突する。気が付くとそこは、風景も友達もそっくりだけど自分が知っている地球とは異なった世界だった。その世界の「掟」として「小惑星美術館」へ行くことになったユーリがそこで見たものは——。
「小惑星美術館」とはいったいどんな所なのか? なぜ12歳の子供たちはそこに行かなければならないのか? 好奇心にかられる謎だらけで前半はとにかくドキドキワクワクで、先が気になって仕方ありませんでした。でも、この世界の謎、訴えかけるものが何かが見えてきた途端、今度は逆にまるで尻込みをするように先を読むのが怖くなりました。いつしかワクワクな気持ちは完全に消え去り、ドキドキな気持ちだけが残るなか、やがて見えてきたものは誰もが漠然と感じているだろう未来の世界の姿。悲しいような切ないような気持ちがどっと押し寄せてきて涙が止まらなくなりました。
この物語は、地球の声が聞こえなくなった私たち人類への警告なのでしょう。 人間が今の生活を続けていく限り地球はどんどん傷ついていきます。分かっているのに一度起こった流れはなかなか変えられるものではありません。それでも、一刻も早く私たちはいつの間にか忘れてしまったものを取り戻さなければならないのです。地球が夢を見るのをやめてしまう前に。
「地球を守る」ということよりも先に、「地球に守られている」ということを知り感謝する心を持つことの大切さを教えてくれた本書。地球に住む多くの人の手に渡って欲しいと願わずにいられません。今ならきっとまだ間に合うから。
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