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日本生まれの日系2世英国人の著者だが、完全な英国紳士らしい小説。20世紀初頭、ダーリントン卿宅の執事を主人公として欧州の上流階級の生活が情感たっぷりに描かれる。英仏のドイツへの第1次大戦後の遺恨の違いなどが興味深いところ。英国から見て仏の独への恨みの深さは、今の仏独の枢軸関係からは想像もできない。ヒトラー台頭、主人の家のユダヤ人解雇の動きに、主人公の執事と女中頭のミス・ケントンとの間のすきま風が吹く。そして、二人の長年のぎすぎすした関係から年月を経、再会した場面の平安に満ちた会話が美しい。題名が象徴するような、寂しいながらもノスタルジックな諦観の世界が感動的。
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現在TVドラマ放映中の「私を離さないで」の作者。日本生まれのイギリス作家イシグロのブッカー賞(英の文学の最高の賞)受賞作。活字が苦手な人は先に映画をどうぞ。ホンモノの執事とは? (榎本 教員)
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ある名家の執事が旅行をする話。
旅行をしながら執事生活を振り返り、自分の仕事のやり方に間違いはなかったと自分に言い聞かせながらも、どこか後悔している部分が感じられる。
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正直「わたしを離さないで」の方がよかった
イギリスの歴史に詳しくないと、もう一つ楽しめないのかもしれない
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ノーベル賞で読んだことを思い出しました。
ブッカー賞を取ったという報道で本を買いました。
しかし内容は全く覚えていない。
もう一度読み直さなくては。
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主人公は老執事スティーブンス。
ある日主人から、旅行を勧められる。この本はスティーブンスの旅行記であり回記録。
スティーブンスの生き方は、決して上手とは言えない。
過去を回想することで、スティーブンスは自分が失くしてしまったものを思い知る。
でも、彼の生き方は真摯だ。時計の針はもう元には戻せない。最後のスティーブンスの姿が、暖かく心に残った。
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ノーベル文学賞受賞おめでとうございます。
差しあたって未読ですぐ手に入りそうなものをということでこれを。
英国の秩序正しい執事が休暇にドライブしながら過去の様々な回想にふけるという内容で、想像以上に良かった。
「わたしを離さないで」は読んでいたけれどこちらのほうが私は断然好き。
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人生の夕暮れを迎えた執事が、旅をしながら自分が1番輝いていた古き佳き時代を振り返ります。
不器用ではありながら、真摯に懸命に仕事に向き合って来たのでしょう。ちょっと言い訳をしながらも輝いていた過去を懐かしく思い出します。
夕暮れに振り返った時に、何か一つでも輝けるものを見つけられるような人生を送りたいものですが、さて今から間に合うものかどうか…
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The Remains of the Day, 「過ぎ去った一日を振り返って、そのとき目に入るもろもろのこと」(訳者あとがきより)
哀しさと少しの可笑しさ。とても好きな話だった。老執事ミスター・スティーブンスが、休暇をもらい、昔共に働いていた元女中頭ミス・ケントン(正しくは、今はミセス・ベン)に会いに行く。イギリス人でありながら、執事という職のため、道中の景色は初めて見るものばかり。ドライブの旅の夜、ミスター・スティーブンスは、その日の出来事と、それを発端に思い出す過去のことをあれこれと考えてみるのだが。
本物の執事に会ったことがないけど、イメージするそれは、とてもイギリス的なもの。しかも、古き良き大英帝国的なもの。主人公は、執事に必要なものを「品格」ということばで語る。世界を動かすような、仕えるに値する主人のために、万事滞りなく、私情に流されず、自分の立場をわきまえて。主人公の語る過去から、少しずつ事情が明らかにされ、彼の前の主人であったダーリントン卿について、読者にもその為人がわかってくる。同時に、紳士であったり、執事であったり、そういう大英帝国的なものの価値が、ガラガラと崩れていった近現代を知る。所詮私にはその真に大英帝国的なものの敗北は、きちんと理解できないけれども、この小説が語ろうとした、イギリスが失いつつあるものの姿は感じられる。
著者カズオ・イシグロは、きっと英国人としてこの小説を書いた。1989年の作品だという。1989年は、世界の各地で、大きな変化があった。古き良き時代は、もう去るのみ。最後の章で語られる、夕方ががいちばんよい時間だという意味。人生の夕方、大英帝国の夕方、ミスター・スティーブンスがいるのは、そのような時である。
ミスター・スティーブンスは、ダーリントン卿に仕えた日々の、いくつかの行動を悔やむだろうか。主人をただ信じるだけでなく何か自分で判断をしていたら、賓客ではなく父の最期を優先していたら、ミス・ケントンの愛に気付き応えていたら。でも、彼は悔やまないだろう。彼は自分の仕事に誇りを持つ執事だ。今は新たな主人ファラディのために、またひとつひとつ執事の務めを果たしていくべき時。主人に判断をゆだね、自分は主人がなすべきことをすべてなされるよう尽くす。彼の目指す生き方は変わらない。たとえ、それがもう、黄昏を迎え、後は沈みゆくだけのものであっても。
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イギリス人カズオ.イシグロの作品、図書館半年以上待ち続けてやっと順番がきた。とある名家の執事が偶然のドライブ旅行に出て折り節我が執事人生を咀嚼しながらの数日間。執事と言えば ちびまるこちゃんの花輪くんの執事 西城秀治(ヒデジイ)くらいしか思い付かないワタシですが、何しろ英国の執事とくれば半端ない専門性と品格の世界。執事人生悔い無し と自覚するスティーブンスだが、自己を抑えてひたすら主人を支える生活に 果たして全て良かったのだろうかとの思いも湧く旅行。いちばんの目的は終盤の元 女中頭との再会だが、あわよくば仕事に戻って欲しいとの思いは意外な結末でホロリとなる。旅の終わりの黄昏時にたまたま出会った男の一言「人生、楽しまなくちゃ。夕方が一日でいちばんいい時間なんだ。脚を伸ばして、のんびりするのさ。」
日本語訳がよくて、とても良かった。
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名家の執事の物語。最初は違和感を感じたが、最後の人生についての話は感銘した。ミスケントンとの関係は微妙な話でミスタースティーブンスの対応は疑問が残るが、イギリスの風土か。
*いつも後ろを振り向いていちゃいかん。前を向きつづけなくちゃいかん。人生楽しまなくっちゃ。夕日が一日で一番いい時間なんだ。もっと前向きになって、残された時間を最大限楽しめ。人生が思い通りに行かなかったからと言って、後ろ
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カズオ・イシグロが最初に大々的に取り上げられたのがこれだったと思う。その時に買ってこれまで読まずじまい。ダウントン・アビーを見てしまった後ではいまいち面白くない。
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静謐だ。執事が旅に出る。過去の回想が語られ、「良き」名家の思い出が郷愁を誘う。旅は目的地の着き、日の入りにロマンを感じる。それにしても見事に上流階層を描いていて、感じいった。図書館で予約して1年以上かかって借りることができた。最後のページをめくるのが惜しかった。