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今日は医療者・癒す人の心構えについての箴言を
「自らの役割りを疾患の治療者と見做す者は無力である。自らの働きは力の及ぶ限り病者を助けることだ、と知っている医師はほとんどいつも何かすることができる。」
『平静の心 オスラー博士講演集』(日野原重明、仁木久恵訳、医学書院)より。
上の文章中の“医師”はヒーラーに置き換えることもできるだろう。
僕は鍼灸師の学校を卒業するころ、日野原先生を知り先生の著書を読み漁った。そして先生の私淑するオスラー博士を知ることとなり、この本を手にした。
この本は医師であるオスラー博士が医学校や看護学校の生徒に向けて行った心を打つ数々の講演をまとめたものであるけれども、その後輩に向けた愛情に裏打ちされた叱咤激励の言葉には襟を正して拝読する価値がある。だから今でも僕の座右の書の一つだ。
・医療とはただの手仕事ではなく技術(アート)である。
・自分の立派な仕事を見せんがために、世の人々の前で明かりを点けようなどと考えてはならない。
・我々の仕事は下士官や兵卒として黙々と働くことであり、一生をかけて知識、賢明さ、人間性、誠実さなどの模範を示すことにある。
・人間性があれば毎日の生活の中で、弱い者に対する優しさと思いやり、苦しむ者に対する限りない同情、すべての人間に対する広い愛などを発揮することができるだろう。
・誠実さがあれば、いかなる場合にあっても、諸君は本分を尽くし、天職を全うし、仲間である人間への愛を持ち続けることができるだろう。