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【メモ】
①読書理由
・弁論部の顧問の先生に勧められ。
・NPO活動を通じ、中東の文化に興味を持ったため。
②雑感
・紀元前5000年からサウジアラビア建国までの歴史をたどる。壮大である。
・メインは1880年から。それまでの歴史はダイジェスト。ダイジェストにブノア・メシャンの「中東観」が凝縮されている。好戦的で英雄が尊敬され、王室には陰謀が張り巡らされ、知的好奇心が強く様々なものを受け入れるがそれを体系だてるといったことはなく実利的・快楽主義的、行動の予測がつかない・・・・などなど。ここで僕はサイードの『オリエンタリズム』を思い出した。
・主題であるサウジ建国者イブン・サウドの物語、戦争と外交の記録から彼の姿を明らかにしてゆく。その人間像は、捉え難く・英雄的・信心深く・実利的と中東を凝縮したような姿である。人と人、国と国の間を縫うように、切るように進む彼の姿は、混迷の時代に力を与えることだろう。
・支配して奢らず。おそらくはこれが彼の統治理論であろう。メッカの住人達はサウドの軍隊が―略奪をおこなうのではないかと言う危機感に反して―とても規律正しいことに感銘を受けた(p186)。また、「権力は神にのみ属している(p205)」「ここに住む諸君が私を選ぶのだ」とし、住民を感情的に説得にすることに長けていた。そのほかにも、サウジの民を喜ばせるような術をさまざまに講じた。(主なものは、芸術・科学である)
・支配者から国民が見える、ということだろうか。