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●構成
陸地(フェルナン・ブローデル)
海(フェルナン・ブローデル)
夜明け(フェルナン・ブローデル)
ローマ(フィリッポ・コレアッリ)
歴史(フェルナン・ブローデル)
空間(モーリス・エマール)
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ヨーロッパの中でも、地中海地方は比較的早くに開けた場所であった。そこでは有史以来人々の様々な営みが続いてきた。
本書は、フランス・アナール派歴史学の領袖ブローデルによって編まれた、地中海の全体史である。陸地や海といった地誌的記述から始まり、生活史、政治史、宗教史、交易史など多分野にわたって地中海を描き出す。特に本巻では「時間」と「空間」を中心に据え、人間と人間がそこに住む陸地――平野・盆地・山・沿岸など――すなわち「空間」との連関において、長期にわたって持続する人間の生活の移り変わり、すなわち「時間」を、北アフリカも含めた地中海地域全体について概観する。
アナール派の歴史観による歴史叙述を体験でき、さらには歴史とは何であるのかを考えさせられる一冊である。
(※このレビューは、『地中海世界』合本(みすず書房)の前半「空間と歴史」に対するものである)
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