紙の本
これぞ!待ってた訳詩
2003/04/09 00:25
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はけの道 - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は学生の頃から、チョクチョクフランス語をかじっていた者だが、この「悪の華」も堀口大学や鈴木信太郎などと言った先生達の訳をテキストにしていたが、もう一つピンと来ません。余りにも日本語としての詩が巧すぎて…所がこの安藤訳には、すっかり私の心に入って来るようです。ボードレールの痛み、苦しみ、見たいな物がよーう解って来るんですよね。いや、私の方がそれだけ歳を取った、とも言えますがね。そうして改めて、先の両先生のものを拝読しますと、これまた、三人三様、夫々が素晴らしいのですよね、でもやっぱり私は安藤元雄訳かな。近年、益々この鬼才にして天才詩人ボードレールが見直されて来たのでしょうか、偶々よく耳にします。
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惹かれる表現がたくさんあって、そして正直に人間の真髄を見せてるというか。
こんなことも書いていいんだ。そんな風にさえ思わせてくれる、悪の華です。
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詩が好きな人にはお勧め。
良い本ですよー
読む価値あり。
まぁ、好き嫌いが出てくるしょうが・・・・
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気取った退廃。派手好みの小心者。
きらびやかでグロテスクな言葉と言葉の間とか紋様とかに滲みだす人間の見苦しさがたまらない。
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きれいなものをきたなく表現するとか、きたないものをキレイに表現する、とか。
そういう矛盾やらアンバランスさやら。
好きな人はとことん病み付きになるような毒素がある。
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確か寒い時期に読んでいた。体に良くないよ。精神的には核爆弾。真似は止めたほうがいい。読んでもおかぁさんには言わないほうがいい(笑)。しかし、ツンツンした毒牙の攻撃的前衛詩。このジャンルでは唯一無二、単純にいう「天才」です。
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詩という文学空間の可能性を最も早く提示し、近代詩の父とされるボードレールの代表作。特にフランス印象派の詩人たちに多大な影響を与えた。刺激的な言葉たちの奏でるメロディはありとあらゆる混沌に満ちている。猥雑なパリの路地裏で人生の苦悩にまみれあてどなく彷徨する作者の姿が目に浮かぶよう。
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読み物として詩をチョイスすることはあんまりないんですが、好きな評論家の方が推していた作品なので観賞。出版直後に秩序紊乱の罪に問われたという理由がそこら中に見られます(笑)
真面目な話、表面的に見てこれだけキリスト教を皮肉ったり、聖書の教えに真っ向から反するような表現を連ねていれば、そりゃあ取り締まられるわなぁとも思いつつ、出版されたのが近世(19世紀)で魔女狩りのような扱いは受けないだろうと思われるとは言え、キリスト教圏においてこの作品を堂々と世に送り出すというのは、よほどの度胸がないとできないだろうなとも感じました。
ただ、よくよく彼の世界を読みこむと、表面から感じられるただ単純な悪魔主義的な思想の裏に、至極敬虔なクリスチャンとしての著者の姿が見えてきます。どちらが著者の本当の顔なんだろう、という疑問が浮かぶこともしばしば。作品の中に取り上げられている聖書のエピソードを端的に一つの言葉や一人の人物名で表現して想起させるレトリックは素晴らしいです。
それに加えて、古代ローマやギリシャの神話やエピソードもかなりふんだんに織り込まれており、ボードレールがあくまで緻密に、一つ一つの詩を生み出していったことが分かります。
個人的に詩の「音」が好きだったのをいくつか挙げます。
本当は、詩は一カ所だけを抜き取るようなことはしてはいけないのかもしれないけど。
「ルーベンス、忘れの河、怠惰の園、
愛をかわすわけにはいかない さわやかな肉の枕、
けれどもそこに生命はあふれ 絶えず波立ち、
空の中の風のよう、海の中の海のよう。」
「ほがらかさにみちた天使よ、ご存知ですか苦しみを、
屈辱を、悔恨を、すすり泣きを、倦怠を
あのおぞましい夜また夜の とりとめのない恐怖が
紙屑を丸めるように心を押しつぶすのを?
ほがらかさにみちた天使よ、ご存知ですか苦しみを?」
「子供とは、地図や版画が大好きなもの、
全宇宙がその広大な食欲にひとしく見える。
ああ!ランプの下で世界は何と大きいのだろう!
思い出の目に世界は何と小さいのだろう!」