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1991年の本だけれど、今こそ読んで良かった。平明に現行憲法の良くない点を述べ、著者の試案を提示している。なぜその案になるのか、考え方が大変わかりやすく書かれている。過激な煽り文句などはありません。読みつつ自分の考えを落ち着いて点検する役にたったのが良かった。細かい字句の解釈なんかに拘泥せず、太い考え方ができる。
そろそろ自民党にも野党にも具体的な改憲論議を始めてほしいと思う。明治以前の伝統は考慮されず儒教思想と全体主義で国民を教化するような気持ち悪さのある自民党案も、本書のように作成の意図と理念を解説してもらいたい。9条だけが問題なのではなく、根本的な理念がちゃんと解説できないとダメだと思う。
野党も「議論はしますよ」とだけ言うのでなく具体案を出すべきじゃないのかな。このままいくと、「議論不十分」といいつつ強行採決で自民案がまるまる通ってしまい……という図しか浮かばない。
与野党ともに国民にオープンな議論を見せると地雷を踏みそうとか炎上したくないとか、思ってる? それ、怠慢です。
いずれにしても現行の憲法は日本語も変だし何を言ってるのかわからない部分が多いってことが如実に分かった。現行のままでは恥ずかしいでしょう。ちゃんと各々考えて変えたいですね。
本書は文庫版も出ているし、おすすめです。