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紙の本
揺れ動く少女の動きが実は主人公かも
2002/04/07 14:37
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 葵 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカの私立探偵ものの中では、実に普通の男のサムスン。金持ちの妻と別れ、幼い娘がいるのだが妻はもう再婚して、世界中を旅してくらすような優雅な身分。反面、自分はドアに鍵もついておらず、バスタブがない部屋をオフィス兼自宅としている、ちょっと貧乏にシフトした生活。拳銃も持たず、なにかトリッキーな技も持たず、実に地道に人々に話を聞いては依頼をこなしていく。そんな彼の生活ぶりなどが鮮やかに描かれています。
この第1作目は、サムスンの元に可愛いお嬢さんが依頼人としてやってくることで始まります。「あたしの生物学上の父親を探して」。大富豪の娘が学校で血液型の検査をしたところ、父親と母親の血液型からは自分は産まれないとわかったというのだ。自分はA型。母はO型。父はB型。ということは、自分は父と母の子ではないということだ。
大富豪の遺言にまつわる、家系の謎。陰謀。出だしの雰囲気からするととても想像がつかないようなラストが待っています。家族の謎を解き明かしていくサムスンに対する、彼女の心の揺れが、サムスンの心まで揺さぶる。少女の悲しい心の内が、読後の心に染みます。
紙の本
そんなに固ゆでじゃないけどユーモアとプロットの巧みさが楽しい秀作PI小説
2000/10/19 02:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:松谷嘉平 - この投稿者のレビュー一覧を見る
■リューインの処女作にして、アルバート・サムスン・シリーズ第一作にあたるパズラー的PI小説。
▼サムスンの元を訪れたのは16歳の少女。彼女の依頼は自分の生物学上の父親探して欲しい、というもの。最近になって、母親がO型、父親がB型であることが判ったのだという。それが確かであれば、A型である彼女は彼ら二人の子供であるはずはない。
■中心の謎は、勘の良い人だったら解けると思う。上手く騙されれば、もちろん存分に誤誘導されて、真相にアっと驚くでしょうし、判ったとしても副次的な謎や、巧みに張りめぐらされた伏線といった、緻密な構成、またストーリー転回の妙を楽しむことができるでしょう。
■何よりもサムスンのキャラクタが魅力的。彼の一人称は結構、心情を素直に吐露していて、あんまり固ゆでではありません。警句めいた表現が頻出するのは、典型的なPI小説の叙述ではありますが、変な気取りや飾り気がないし、ウィットに富んでいてユーモラス。
紙の本
サムスン登場
2001/12/25 03:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヒグマ - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代ハードボイルドの巨匠・リューインのデビュー作。リューインが生んだヒーロー、私立探偵アルバート・サムスンシリーズ第一作でもある。
私立探偵サムスンは、離婚経験のある、中年男。探偵のくせに暴力が嫌いである。スポーツ観戦と読書が趣味で、酒はほどほど、煙草は吸わない。あまりにも平凡な男。
サムスンのもとに現れた依頼人は若い女性だった。お願い、わたしの生物学上の父を探して—それが、彼女の依頼であった。依頼を受けたサムスンは調査活動を始める。次第にさまざまなことが明らかになってきた。依頼人のエロイーズはまだ15歳であること、依頼人は大富豪の一人娘であること。大富豪のもうひとつの顔、隠されていた過去。サムスンは着実に依頼された仕事を遂行するが、家族の秘密を探ることで、逆に依頼人との関係は冷えていってしまう。調査にも圧力がかかり…。
サムスンのキャラクターがいい。とぼけているが、やるときはやる。外見上は平凡な男だが、内面的な強さを持っている。かっこいいです。サムスンを驚かせ、悩ませ、ときに怒らせた依頼人の少女が、試練を経験して大人になっていく様も、ちょっと切なく、感動的。
☆ヒグマ文学館
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