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文庫版でなく単行本を読んだので、表題作とデビュー作となった「揚羽蝶が壊れる時」が収録されているバージョン。 「完璧な病室」はいろんな意味で完璧で怖いなあという印象。初期の吉本ばななっぽかった(まあ年代的に影響うけるだろうけれども)読み終えた後、清潔になった気分になれます。「揚羽蝶が壊れる時」は誰しも降りかかる「老い」を題材にした物語。純文学の毛色が強くなおかつ難解だった。とりあえず主人公は2人ともどこか歪んでいます
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――なんてあなたは優しいのだろう。そして、そんなに優しいのに、どうして無造作に何でもかんでも喉に押し込んで飲み込むことができるのだろう。――
わたしは、優しいことと食べることが、正反対の動作であるかのように、矛盾に満ちた目で彼を見た。
(P.53)
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著者の「博士の愛した数式」を以前読んで面白かったので、初期の作品から読んでみようと、「妊娠カレンダー」に続き、本作を読んだ。
こういうのは純文学というのだろうか?
ゆっくり、一つ一つの比喩表現を噛み砕くように読むと、確かにこんな感じがするかなあと思うことが多かった。
でも、偶然風邪で具合が悪い時に読んで、もっと具合が悪くなった気がする。
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一作目で食べ物の描写が気持ち悪く(いずれ腐るものを体に入れるとかケーキを蟻が食べるところとか)、二作目で比喩表現の難解さに耐えられず、読み進めていなかった。
異常者と私の境界線はなんだろう。果たして私は正常なのか、と考えさせられる内容ではあった。
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『完璧な病室』
主人公のたった一人の弟が21歳の若さで不治の病に犯される。
弟は主人公が勤務する病院に入院し、余命を延ばすための治療を受けながらだんだん病み衰えていく。
弟の病が発覚してから死に至るまでを、
満足に食べられなくなり死へ近づいていく弟との日々と、弟の主治医との穏やかな関係に心を病んでしまった母の記憶を絡めながら描かれている。
現実感が乏しいのに、リアルな感覚が残る小川洋子ワールド。
この世界を構築するのに一文字たりとも無駄なものはない。
ただこの世界が肌に合うか、理解できるかは好みがまっぷたつに分かれるところだろうと改めて感じた。
この作品はとても好きだった。
『揚羽蝶の壊れる時』
デビュー作。
もうひとりでは歩くことも食べることもできない祖母を介護していた主人公だが、
施設に入れることを決意する。
恋人との関係性や祖母を施設に入れることへの葛藤などがひたすら心を掘り下げる形で描かれている。
ちょっと読むのがしんどい話だった。
テーマ的にも気分は落ちる。
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完璧な病室:嫌悪感。美しい死。けれども悲しい死。その死を繭に包まれて悲しむ。残酷で美しく透明な物語。
揚羽蝶が壊れる時:正常と異常のあいまいさ。それをしたり顔で説くものと正常であることを疑わないもの。
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これぞ小川洋子ワールド!
とにかく優しい
優しくて怖くて切なくて
これがデビュー作というのが今とは違った荒削りな表現を更に引き立てている
やっぱ小川洋子は好きだわ〜と思った