紙の本
わたしの好きなもの
2001/05/19 11:41
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投稿者:春都 - この投稿者のレビュー一覧を見る
WEB上にある他の人の感想を読んでも、なかなか踏み込んだ意見が見られない。というより、どれも似たり寄ったりの意見のように思え、たとえば「いま読んでも古くさくない」とか、「これぞ本格!」などのような、内容を語っていないものが多いようだ。
本格推理小説の歴史上に燦然と輝く一作であり、決して少なくない読者がありながら、不特定多数、つまり未読の人も見るかもしれない感想には、あまり恵まれていないのである。なぜか。
それは計算しつくされた、きわめて余剰の少ない「本格」だからだろう。大がかりなトリックひとつで構築されたのではなく、いくつもの考え抜かれたトリックをふんだんに盛り込み、しかもそれらはすべて強い結びつきを持っている。
伏線もミスリードも、本格の根底にある「フェアプレイ」の意識に準じながら、いたるところに散りばめられているのだ。
僕は『りら荘事件』を読みながら、最高の純度を持った「本格の結晶」という言葉が何度も頭をよぎった。僕も含め、この作品を語る人たちは、ひとつの分子のみを取りだすことで、その美しい形を壊してしまうのを恐れているのである。
偉大な先駆者であり、先導者であり、求道者である鮎川哲也が、数十年にわたって発しつづけてきたメッセージ。それが全編に満ち満ちている。
ページをめくるたびに聞こえてくる、「どうです、本格っておもしろいでしょう?」の言葉に、子供のように微笑む「鮎哲」の顔が重なった。
あなたほどではないかもしれないけど……僕も好きです、本格が。
紙の本
面白かったが
2023/03/18 01:11
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投稿者:いしかわ - この投稿者のレビュー一覧を見る
概ねこういうことだろうなというのはわかった。
本人が気づかないことある!?という箇所や、クローズドじゃないのにそんなに閉じ込めておけるか?という疑念がややある。
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大御所「鮎川哲也」氏の作品。とはいえ、鮎川氏を全く知らないので、まず作品の世代にびっくり。結構昔の作品なんだ〜。登場人物の名前がスゴイ。個性的な面々とバラエティ豊富(?)な殺害方法でひきつけられます。ただし、スリル感はないので、スリル感を求める人には物足りないかも。それにしても、こんなメンツで合宿(ちょっと違うか)するかな…(苦笑)
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「館モノ」の入門書にして本格ミステリの真髄。連続殺人の場合、事件がおきるたびに容疑者を絞り込みやすいのが普通だが、本作は全くの逆である。容疑者が犠牲になればなるほど、真相から遠ざかってしまうのだ。手掛かりはすべて提示されているので、論理的なプロセスを組み立てれば真犯人に辿り着く。しかし、伏線をどう読み取るかは、非常に高度なセンスが要求される。
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鮎川哲也といえば、これをオススメします。
本格ものの連続殺人事件です。ちょっと昔の作品ですが、今読んでも色あせないのがすばらしいです。
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星影竜三シリーズ
りら荘にあつまった学生たちの間で起きる連続殺人事件。炭焼きの死から始まったと思われる殺人。被害者のもとに置かれるトランプのカード。
2009年7月12日購入
2009年8月4日初読
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非常に読みやすかった。
50年以上前のものとは思えなかった。
メインのとこも非常によかった
犯人の頭の回転の速さに脱帽です
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怒涛の展開で息つく暇もなく殺人事件がおこります。そう思うとちょっと警察の無能ぶりがひどすぎるんじゃなかろうか…。そして探偵が出てくるのは最後の最後。ぱぱっと謎解きして終了です。それでも話に勢いがあるので、どんどん読み進められました。関係ないですが、登場人物の名前は今時のキラキラネームみたいだなーと。
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犯罪の手口は現実味薄く、捜査陣の言動も笑いをこらえること度々あり。しかしながら執筆された時代(昭和20年代)を考慮すれば画期的な作品であったのかも。
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鮎川哲也の『りら荘事件』を読了。
この作品は、実に推理小説らしい推理小説と言える。誰かが死ぬ度に死体の傍に必ず置いていかれるスペードのカード、そして様々な殺害方法。動機にしてもそう。
読んで初めて知ったが、トランプにはそれぞれ、ダイヤはお金、ハートは愛、クラブは知恵、そしてスペードには死という意味があるという。犯人が死体の傍にスペードのカードをAから順に置いていったのは、それに死の意味があるからで間違いない。
プロットがしっかりしていて、とても一昔前の推理小説とは思えない出来。少し昔の作品を読んでいると、細かいところで説明がなされていないことも稀にあるのだが、この作品は全てに説明がついていた。
しかし、登場人物の中で女性は全く華がなかった。ここまで酷いのも珍しい。敢えてそう作ったのだろうが、必ず一人くらいはヒロインや綺麗どころの脇役が出てくるものだ。ところがこの作品の女性は、太った婆さんや醜女、白豚などと称されるような女性ばかり。現実的な気もするが、ここまでだと逆に非現実的とも言える。
しかし完成度は素晴らしい。本格好きならば押さえておきたい1作である。
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5
極上フーダニット・ワンダーランド。
何故か手元に講談社文庫版(本書)と創元推理文庫版の2冊があって、どちらを読もうか迷ったのだが、ルビが多くついている本書を読むことにした。ただ、明らかな誤字があるので再読する際は創元版にしようと思う(さすがに“スペードの札”が“スペースの札”になっていたりすると萎える)。 本書読了後、創元版の創作ノートと解説だけは読んだ。講談社版の解説と合わせて読むとなかなか面白い。ちなみに創元版には講談社版にはない「秩父への鉄道」という図版が載っている。なくても困らないが、あった方が地理を把握する上で役に立つ、かもしれない。
【以下ネタバレ】
犯行後カードが置かれる理由は想像がつきやすいと思う。狙いは殺害順を誤認させてのアリバイ作り。入れ替えられるのは2人目(松平)のと3人目(橘)の順番。これだけで橘を探しに行く過程でアリバイを得た2人に犯人は絞られる。振り返ってそれまでの行動、及びその後の犯行から考慮すると、芋づる式に真犯人はこっち(尼)だなとほぼ確信。ところがこいつが最後に殺害されてしまい「え?なんで?」となる。このように謎が解けてしまった(解けたと思い込んでいる)読み手に対しては、もう一段階仕掛けがあるような構造に感じられ、さっぱりわからないという人には一連の謎に見える二枚腰、というかハイブリッド感が素敵。真相も十分納得のいくもので、特に伏線の張り方・ヒントの出し具合(強弱)が絶妙、回収もスッキリ。
1958年(原型や雑誌連載は更に前)に発表されたことを考慮してもしなくても紛れもなく名作。
【以下備忘録—他の作品にも触れるネタバレ】
第一回鮎川哲也賞を受賞した芦辺拓『殺人喜劇の13人』は本作の子供のような作品なんだなと認識。学生が集まる舞台というだけでなく、事件後の食事風景など雰囲気がよく似ている。クオリティはさておき。
犯行順を錯誤させるためにカードを置いていく、というネタは形を変えながら様々な作品で受け継がれていて、言わばスタンダード化しているとも言える。例えば二階堂黎人の『地獄の奇術師』ではわざわざ本作の書名を出して流用している。本作は蘭子のお気に入り、という設定。
色盲を利用したトリックも、いろいろと流用されている。一つ例を挙げようと思ったが、どうしてもタイトルが思い出せない。短編で、内容はおぼろげに覚えているのだが。ああモヤモヤする。なんだっけ…。ADVゲームでは『クロス探偵物語』などもそうか。
砒素を常用していると免疫ができて毒が効かなくなる、というネタはセイヤーズの作品に先例がある(原題『STRONG POISON』(1930年))。 どうりで読んだことがあると思った。
たらい等で溺死させ殺害場所を誤認させる、というネタは枚挙にいとまがない。風呂だけでなく、特定の川、湖、海などで死んだことにするために、犯人はわざわざ水を汲みに行く。手を抜いて水道水で溺死させると簡単にバレてしまう。
火かき棒—定番の凶器。掴んで殴る。
タオル—指紋がつかないスグレモノ。
吹き矢—馬鹿にしてはいけない。ドイルやクリスティも書いている。
鮎釣り—駄洒落に見える。
尼—こんなところにもアマちゃんが。
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いわゆる館モノのハシリと思える、クローズドサークルではないが。背景、登場人物、に時代を感じることはあるが、連続殺人における小道具、アリバイ、会話の端々に隠された伏線、紛れもない本格推理小説だった。
実際自分も謎が解かれたあとで、やっと気づいたが、氏の本格に対するこだわりが凝縮された一冊なのだろう。
難を言えば探偵星影龍三はなんとなく好きになれなかった、鬼貫警部が魅力的だからだろうけど…
次の鮎川作品を鬼貫警部にしよと思った。
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びっくりするぐらい次々と殺人が起きる。それに比べて、トリックは地味である。登場人物の名前が変わっているが、トリックと関係なかった。関係があれば十角館だ。
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面白かったが概ねこういうことだろうなというのはわかった。
本人が気づかないことある!?という箇所や、クローズドじゃないのにそんなに閉じ込めておけるか?という疑念がややある。