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それまでのシドニー・シェルダン作品は全て単発物だったが、本作は初めて続編だ。それも個人的ベスト作である『真夜中は別の顔』の続編であるから、これが出た時には「待ってました!」と快哉を挙げたものだ。
ちらっとネットで調べてみたが、シェルダン作品で続編が書かれたのは本作以外ではどうもないようだ。このことからも作者自身もこの『真夜中は~』には手応えを感じ、特別な思い入れがあったのではないだろうか。
さて本作では前作では影の存在として、さほど表立って描かれなかった大富豪コンスタンティン・デミリスが前面に出てストーリーが展開する。なんと前作でショックのあまり記憶喪失となったキャサリンを、自分に対する裏切りの復讐として殺そうと画策しているのだ。とにかくこのデミリスの黒さが全編に渡って描かれている。そしてこいつは本当に悪い!そして金が豊富にあるだけに恐ろしい。しかし悪は栄えず。その権力と財力とで封じ込めてきた復讐劇が、綻んでいき、デミリスの周囲を真綿で首を絞めるようにデミリスもまた窮地に陥っていく。それをたくみに交わすデミリスの奸智もまた見ものだ。