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お耽美。
帯に「耽美冒険浪漫」と書いてあるので間違いない。
ほぼ前編に渡ってお耽美エロス。エロスを美しく描くために全てが設定されている。
ハイテクも宗教もエロス。猫も杓子もエロス。
そして耽美。ルビ多用のエロス。三島系。
つまりはBLよりJUNEということです。
何の話ですか?っていうかまァだいたいあってます。
ビブロスよりジュネだろって常日ごろ主張しているかたはぜひ。
(私はビブロスもといリブレも好きですよ?)
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所謂ボーイズラブの耽美小説なのですがサイバーパンク的なSF要素もあり、SM小説でもあり、ファンタジーといえばそれな気もします。
うつくしい少年二人が山奥の温泉地でイスラムの指導者だったものの痕跡をたどるにつれ亡命してきた指導者の後継、秘密警察、地元の名家だった、彼らをかつては助けていたもの、そんなものが絡んできてぐちゃぐちゃと混ぜ合わされた、極彩色のうつくしい悪夢といった感じでした。
とにかくなんというかけぶるような官能といった感じです。
エロではなくエロス。官能。耽美。仕草ひとつひとつ、情景ひとつひとつがとにかく官能的なのです。それでいって肉々しいわけではなく、石膏でできた裸体を眺めているような無機質さも感じます。
はじめの数ページを読んだときは長野まゆみ的な白昼夢のようなぼんやりした感じを覚えたのですがページを進めるにつれてああ全然別物だなと思います。
男性的、といいますか、女性にはあまり縁がない感じの雰囲気もありました。
官能と幻想の小説だと思います。
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表紙の独創的な世界観に感心しながらページを開いたら、実は本文を忠実に表現したイラストだった。よくここまで再現できたものだと驚く。
著者が最も書きたかったのは、生贄が凌辱者に征服される過程だと思う。文章からただならぬ気迫と熱量が迸る。同じ単語の反復によって、催眠にかけられるようにこちらの意識まで酩酊していく。
序盤はその酩酊状態を楽しめたが、あまりにも嗜好が局地的過ぎて受けつけられず、いったん読むのを止めてしまった。
ラバー・スーツで被覆されて物と化した肉体、加虐と被虐の二重化、仮想現実装置による身体感覚の追体験。現実には起こりえないもので、極めて変態的だ。
著者は男性では、と思ったらやはりそうだった。
女性であれば、もっとキャラクターの内面を作り込んで、情緒的な官能表現を目指すと思う。だが、著者はシチュエーションの描写の方に力点を置いている。
私としては、雅がいかにも小動物的で恐怖に震えてばかりなのがイライラしたし、物語の要とも言える眉視がほとんどしゃべりもせず、一瞬で用済みになるのがもったいない。仮にマンガ化でもされるなら、眉視が一番人気だと思うのだが。
イスラム様式に彩られた館の蠱惑的な雰囲気や甘い香りがこちらまで漂ってくるようで、舞台設定はよかった。ただちょっと自分とは趣味が違うし、健全な人には薦められない本。