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紅於は初めて、その沼が途方もなく深いことに気付いた。
この一文に息が止まりそうになる。
どこが好きと聞かれたら雰囲気としか答えようがない。
沼に惹き込まれて沈みたいと願う頬白鳥の気持ちがよく分かるくらい、その沼は魅力的だ。
言葉のひとつひとつや単語が美しく綺麗であるのに、明確に輪郭を描くことのできない妖しさをまとっている。
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後半、喘息の息子の様子を気にしながら読んだので
世界にどっぷり浸れなかった。
もう1回読む~~~~!
(10.07.22)
夏らしい話が読みたくなって引っぱり出した。
初めての長野まゆみはこの本だったと思う。
(10.07.22)
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祖母の家で過ごす夏。そこには美しい従兄がいる。
夏の綺麗さや、沼の深さ、少年たちの真理描写がきれいだった。
なるほど、これは10代で読むと衝撃的かもしれない。
るりるりるり。
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中学生の頃読み、魂を持っていかれた一冊。「水蜜桃」が何だかとてもおいしそうな食べ物に思えていましたが、ただの桃でショックでした(笑)初期作品では「野ばら」と同じくらい好きです。
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小学校の頃一時期ハマった小説。
最初は古い表現が多くてとにかく読みづらかったけど、読み終えて暫く現実感が無くなってぼーっとするくらいこの小説の世界に入り込んでしまった。
とにかく綺麗で美しい。夏になったら読み直したい。
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・各章のサブタイトルを繋げてよむと、詩歌みたい。
・ぼんやり始まってぼんやり終わる。
・きれいな文章。でも怖い。
・夏の話なのに薄ら寒い。
・水笛吹きたくなる。
・水蜜食べたくなる。
・ルリルリルリ、
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この世界観、好きです。子供向けのファンタジーかと侮っていたけど、妖しくて残酷な世界に魅了された。「沼」とはなんだったのか。弟の頬白鳥は、そこに「沈みたい」と言う。そんな結末なのね…ってちょっとぞくっとした。
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全編通して夢か現実か曖昧で不思議な話。
水を豊富に含んだ柔らかい泥や水蜜の感触を想像するだけで、気持ちいいのと同時に引きずり込まれそうな恐ろしさを感じる。
途中で怖くなってきたがやめられずに最後まで読んだ。
唐突に終わるので夢から覚めた気分になった。
沼から聞こえる鳥の声に魅入られた少年たちは、その後一体どうなったのだろう。
しばらく頭から離れそうにない。
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暑い夏、紅於と頬白鳥の兄弟は沼の淵に建つ祖母の家へと向かった。そこには従妹で美しい少年の草一も暮らしている。沼に咲く蓮の花、沼の底から聴こえてくるルリルリルリという鳴き声。沼に沈んでいく少年たちの話。
弟の頬白鳥が沼へと焦がれる様、沼から聴こえる音や、泥の感触、色、すべてを美しく幻想的に伝えてくれます。
そして気づかぬうちに、読み手の私でさえも沼の魅力に引きずりこまれました。
いきなりぷっつりと終わってしまうラストをむかえるまで、家と沼しかない世界は本当に美しく、少年たちの不安定さと移ろいを感じさせてくれました。
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面白かったです。
冷たい水と沼と、水笛や水蓮に涼しくなりました。
紅於だけに生命力を感じ、頬白鳥や草一は夢の中に生きているようなふわふわとした感じでした。頬白鳥は沼に魅せられ、沼に沈み、夢遊病の草一も沼へ。
頬白鳥が沈んだあとに咲いた青い水蓮、見てみたいです。
紅於はこれからも生きていくのかな。
暑い毎日の清涼剤でした。
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どことなくマンディアルグ風味な泥濘と水蓮と少年の舞台設定からして、惹かれないはずがないのです。長野まゆみさんらしい精緻で多彩な文章にぐいぐいと呑み込まれるようにしながら頰白鳥といっしょに沼をのぞきこむその瞬間の美しさ畏ろしさ。堪能しました。
物語の全体を通してみれば平坦かもしれないその一瞬を、いやむしろその一瞬のために、築き上げられ飾られた文章一行一行を味わうように、大切に読んでいくことのできる作品こそ、私が偏愛したくなる作品なのです。
「頰白鳥、駄目だよ。燥いているように見えても、水は沁み出してくるんだ。」
「沈んでしまうの。」
「あゝ、沼だからね。」