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「ジュラシックパーク」などの原作者の半生の下巻。上巻と趣向を変えて、コナン・ドイルが晩年に心酔した透視能力者の話から。その段階ではスピリチュアル系の話には懐疑的だったのが、下巻の後半ではその手の話ばかりになって、かなり辟易する。何しろ、客観的な記述がなくなるからである。
途中にある紀行、特にジャマイカとパプアニューギニアの話は、まるで小説かのように非常にスリリングで面白い(ま、小説なのかもしれないけど)。それについ相対して読んでしまうので、心霊体験を全く検証も疑問もなく受け入れて書かれている章は、どうしても「常軌を失った作家」と見えてしまう。
最後の章で「いろんなことが有るかもね」と締めていて、そこまでな良かった。そのあとに、そういった超常現象懐疑派に向けて書いた文章で完全に失望。「ノーベル賞を取った学者も、科学で証明できないことが有ると言っている」「科学者もミスリードで間違った内容を発表してきた」という、読むに耐えない文章が(過去の論文等を調べている点は評価するが)蛇足的に長々と載せられていて、どこが「ハヤカワ・"ノンフィクション"・文庫」やねんとツッコんでおしまい。
最後の章がなければ、☆3~4は有ったかもしれない。