- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
5 件中 1 件~ 5 件を表示 |
紙の本
味わい深いスコッチ・ミステリ
2001/04/30 01:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:松谷嘉平 - この投稿者のレビュー一覧を見る
かの乱歩が35年以降の世界ミステリ・ベストテン第五位に選んだことでも有名な、『ハムレット復讐せよ』に続く第三作。
▼スコットランドの片田舎キンケイグ村の人々は、エルカニー城の主ラナルド・ガスリーを狂気に近いさもしさの持主と嫌悪していた。クリスマス・イブの夜、彼が墜落死する。自殺か、他殺か、はたまた▲。
前作を読んだときも思ったのですが、この作家は風景描写が好きなようで長く、しかも上手い。特に本作では、自身の故郷であるスコットランドの冬の情景を丹念に描いて、いい雰囲気を出しています。
語りの構成は、コリンズの『月長石』に倣った、複数の人物の手記によるリレー方式。
たぶん乱歩が読めなかったというスコットランド語で書かれいるのだろう、第一部のイーワン・ベルの手記は、まず、事件の周辺にいる人物たちを紹介していく部分で、ここはちょっと現在の読者からすればゆったりし過ぎているいると感じられるかもしれません。
でも第二部、事件当夜、城に迷い込んだ男の語りによるパートでは、恋人にあてた手紙という形式からして、たぶんストーカーの『ドラキュラ』を模したものだろう思われる、ちょっとゴシックな感じの叙述で興味を引き付け、続く第三部では俄然、探偵小説らしくなるという寸法。
更にシリーズ探偵アプルビイ警部が登場してからは、真相が二転三転、読者は首根っこをつかまれて、引っ張りまわされる。ちょっと、ここはE・C・ベントリー『トレント最後の事件』を想起してしまうほどなんですが、狙っている効果は全く別で、結末もシミジミとした感じを与えます。
実に味わい深いスコッチ・ミステリ。傑作。
5 件中 1 件~ 5 件を表示 |