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紙の本
「利根の渡」が最高。
2003/04/05 13:58
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:松井高志 - この投稿者のレビュー一覧を見る
岡本綺堂の「三浦老人昔話」が好きだ。綺堂は心理をだらだらと描いて見せない。アクションを順序よく見せる。
私は「小説はtellでなくshowだ」という誰だったかの言葉が好きだ。独特の綺堂節も主に「見せる」ための修飾で、心理をぐだぐだと語る後の日本小説を思うと、まるで「拭ったような青空」(この表現に綺堂の読者は時々遭遇する)を仰ぐときみたいな気分にさせる。「半七捕物帳」は基本的に半七が事件を解決し、そういう意味での「オチ」があって終わるが、「三浦老人」(半七の知人という設定)のする江戸の奇談は、オチが「開いて」いる。
怪異がぽい、と置かれて、それっきりで話が済んでしまう。それがいかにも事実くさい。江戸時代を舞台にした時代小説は、今の作者が書くと、結局は設定を江戸にしたファンタジーになって、そこは近代リアリズムの適用を免れることのできる「逃げ場」として、とんでもない人情や超常現象が臆面もなく語られたりするが、どうせ騙されるなら品格のある「三浦老人」の方に騙されたい。
「半七」5本。「三浦老人」4本、「青蛙堂鬼談」は、名編「利根の渡」と「猿の眼」(国書刊行会の日本幻想文学集成本は旧かなづかいがうれしい)。
「修禅寺物語」(以前、月刊「東京人」誌上の対談で中村勘九郎と丸谷才一さんがボロカスに言っていたが、台本自体は好きだ)と「相馬の金さん」の芝居二本までも収めたベスト版。字も大きく、注釈も丁寧で嬉しい。「半七」は「張子の虎」、「三浦老人」は「権十郎の芝居」を入れて欲しかった。そんなんありかよ、みたいな「因果応報」が、こたえられません。
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