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『モレルの発明』の5年後に発表され、『モレルの発明』の姉妹篇とも呼べる小説。
『モレルの発明』よりも、文体も構造も複雑怪奇!
サルヴァシオン群島の流刑地に派遣されたアンリ・ヌヴェールの物語は、彼の叔父アントワーヌ・ブリサックの日録という形で語られている。
その日録には、しばしば矛盾をもって、甥・アンリからの手紙の断片が導入され、また別の甥、グザヴィエ・ブリサックによって書き送られた手紙の一部やアンリ自身が送付したメモやら書類やらがゴチャマゼになっている。そこにさらに2つの刊行者注と、総督の手紙や書類が混ざった文章が物語を構築している。
謎すぎる!こんがらがって取り返しのつかないような文章・・・。巧妙に練られている洗練されたSF小説なんだろうけど、わたしには難しすぎて分からなかった・・・。また読み直す!!
Plan de evasión
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読後、得体の知れない不快感、恐怖感がじわっと来る。14歳で小説を書き始めた早熟の天才の手になる傑作。前著「モレルの発明」と併せて読みたい。
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カサレス版モロー博士の島
脱獄計画という言葉から連想するカタルシスはどこにもなく、モレルの発明以上に錯綜した語りと幻想にあふれてる
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「モレルの発明」から5年後に発表された作品で、その「モレルの発明」の姉妹編と言われている作品。
隔離された島が舞台であったり、メタ・フィクション的な構造を持っていたり、その構造の一つである「ヌヴェールからの手紙」が信用できるものかどうか疑わしかったり、と「モレルの発明」との共通点はかなり多い。
ただ、「モレルの発明」よりも複雑な構成になっているし、「モレルの発明」は読んでいるうちに「これはこういうことかも、あれはああいうことかも」と読者なりの推理が出来たのだが(その推理が正しいかどうかは置いておいて)、本作に関しては終盤まで、何が起こっているのか判らない状態が続いた。
よって最終章あたりで謎が解かれた時「ああ、こういうことか」と、びっくりすることになる。
それにしてもタイトルの「脱獄計画」ってそういうことだったのか! とこの謎が解かれた時に改めて感嘆。
ビオイ=カサーレス版「ドクター・モローの島」と称されることが多いけれど、まぁ当たらずとも遠からず、SFでもあり、ミステリーでもあり、哲学的な考察に富んでいる作品でもあるかな、という印象。
どうしても「モレルの発明」と比べてしまうのだが、その「モレルの発明」にあった「深み」みたいなもの(例えば「自己」とは何か、「他者」とは何か、「不死」とは何か、「愛」とは何か、を読者に考えさせるような内容)に少し乏しかったように思える。
だからといってつまらない作品ではないのだけれど、「モレルの発明」を知ってしまっているので、星は4つかなぁと(「モレルの発明」には星5つ付けてます)。
もし「モレルの発明」を読んでいなければ星5つを付けていたかもしれない。