サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

e-hon連携キャンペーン ~5/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

青きドナウの乱痴気 ウィーン1848年 みんなのレビュー

  • 良知 力 (著)
  • 税込価格:1,32012pt
  • 出版社:平凡社
  • 発行年月:1993.10
  • 発送可能日:購入できません

新書

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー6件

みんなの評価4.6

評価内訳

  • 星 5 (2件)
  • 星 4 (3件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
6 件中 1 件~ 6 件を表示

紙の本

本物の「歴史書」の力

2001/05/31 14:04

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:小田中直樹 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 1848年にウィーンでおこった革命を描く、僕の愛読書中の愛読書。出版を自由にすること、憲法を制定すること、議会を開設すること、そんな要求を口にしてみたら、なぜか革命が始まってびっくりする「市民」(ちょっと偉い人々)。人間として認められること、人並みの生活を営むこと、何かがかわること、そんな夢を見て革命に死んでゆく「プロレタリアート」(普通の人々)。民族として独立するために、色々なかたちで革命にかかわるボヘミア人やクロアチア人やハンガリー人。そんな人々の、今と違うところも同じところもある日常生活、そして、革命という非日常生活が、まるで著者の良知さんが見てきたみたいに語られている。
 とにかくこの本は面白い。塩野七生さんとか死馬遼太郎さんの作品と比べても、いい線いってる。でも、この本はただの歴史小説じゃない。こっそり憶測をはさまない、断定するなら証拠をみせる、といった歴史研究の作法を守っているんだから。おかげで、この本の中身が事実かどうかは、その気になれば誰でも調べられる。この、学界言葉でいう「反証可能性」があるかどうかが、歴史小説と歴史研究書の違いだ。というわけで、この本は、歴史小説の面白さと歴史研究書の反証可能性をあわせもった、本物の「歴史書」だと思う。歴史小説や歴史研究書だったら、書店に行けば山ほどある。でも、歴史書に出会うことは滅多にない。だから、出版元はこの本を大切にしてほしいし、多くの人々がこの本を手にとってほしい。
 さらに、この本の魅力は面白さと反証可能性だけじゃない。よく読んでみると、そこには良知さんのメッセージがぎっしり詰まってることがわかる。それを受けとめるには、文章と文章の間からときおり溢れだす彼の想いに耳を傾けなきゃならない。あるいは、ちょっと文章が硬いけど、良知さんの別の本『向う岸からの世界史』(ちくま学芸文庫)も、参考書として役立つ。
 僕はといえば、とりあえず二つのメッセージを読みとった。第一、民族の問題を考えろ。たとえば、通説では、スラブ人はウィーンの革命に反対したことになっている。でも、革命のために銃を取ったプロレタリアートのなかには、沢山のボヘミア人がいた。クロアチア人は革命に反対して銃を取ったけど、それは、革命を支持するハンガリー人から独立するためだった。民族の問題ぬきに、こういった事態は説明できない。世界各地で民族紛争大爆発の今日から見ると、良知さんの先見性がわかる。
 第二、最後まで闘うのは、市民じゃなくプロレタリアートだ。塩野さんや司馬さんや、ついでに良知さんがいつも意識してたマルクスやエンゲルスは、どちらかといえば市民がお好きなようだ。たしかに、ウィーンでは、革命は何もかえなかったし、プロレタリアートの夢はかなわなかった(この本は、プロレタリアートの革命が失敗しても、「リーニエの壁はただ無表情に立っていた」という文で終わる)。それでも、革命に参加した人々がいたこと、その多くがプロレタリアートだったこと、そのことを忘れちゃいけない(ちなみに、同じメッセージを秘めてるのがミュージカル「レ・ミゼラブル」。時間と金と機会があったら、ぜひ帝国劇場に行こう)。
 もちろん、この本には疑問もある。たとえば、なぜプロレタリアートは闘う気になったか、とか。あるいは、良知さんは、プロレタリアートがまた立ちあがると信じていたか、とか。でも、良知さんから直接答えを聞くことは、僕たちにはできない。この本を書きおえて二週間後に、良知さんは亡くなったのだから。そのことを知ったうえで「あとがき」を読むと、本当に泣けてくる。この「あとがき」だけでも、千円ちょっとを払うだけの価値はあると思う。
 というわけで、本当は星を山ほどあげたいところだけど、最高五つなので、評価は「五つ星」。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2013/09/26 20:30

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2014/02/11 23:54

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2018/08/18 10:30

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2019/03/12 23:05

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2022/03/21 23:41

投稿元:ブクログ

レビューを見る

6 件中 1 件~ 6 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。