紙の本
インディオのために戦った司教の報告書
2002/03/14 23:01
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Shinji - この投稿者のレビュー一覧を見る
コロンブスによる新世界の発見は、スペインの中南米支配に道を開いた。スペイン人たちは富の獲得のためにインディオを奴隷として虐待し、労働につかせた。ラス・カサスはスペイン人の司教として、新世界へ行き、その現状をつぶさに見て、状況改善のために戦った。
本書はスペインの宮廷に状況を報告するために1552年に書かれた報告書であり、解放の神学にも影響を与えた現代的な意義をもつ古典。
紙の本
中南米史の基本事項の一つ
2021/04/30 22:21
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投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
中南米の歴史について知ろうとするなら、
とりあえずは読んでおきたい本です。
例えば、キューバに住んでいた原住民は、
ヨーロッパ人の手によって全滅した、
といったことが、延々と書いてあります。
紙の本
基本文献
2002/07/27 14:03
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MF - この投稿者のレビュー一覧を見る
大航海時代の歴史の本の中で必ずといっていいほど参照される基本的な文献。征服する側にありながら、非征服民に加えられる暴虐を明らかにし、スペイン本国に報告した書。実際のところ、この他にも同様の報告書がスペインに送られており、スペイン本国では現地での殺戮については把握していたのだが、一方で「スペインが富を得るにはある程度の犠牲はやむを得ない」という指摘に、本報告書の内容は無視されることになる。
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薄いし難しいことは書いてないので読みやすい。帝国主義やら植民地問題やらについて。何が悪いかどちらが悪いか、根源なんてそう簡単に特定できないないなぁと思う。相対的に考えるのは欧米のちょっと考えなきゃならない思想の方向性だと思うのですよ。はっきり決めないのもだめですが悩まないのはもっとだめだ。
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立花・佐藤本に載ってた本。あまりに残虐でびっくりした。
16世紀前半にスペイン人が中南米の先住民(インディアス)をいかに殺して行ったかが順を追って書かれている。総数1200~1500万人だって。。。エスパニョーラ島(ハイチ、ドミニカ共和国)から始まって、次々にローラー作戦で片っ端から虐殺していった事実が淡々と「簡潔に」記載されている。これを読んでいると、いかに人間が救いようがないのか、という暗澹たる気持ちになってくる。
フランシスコ・ピサロがインカの皇帝アタワルパを殺した下りも記載されていた。
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この報告書を受けてスペイン王はどうしたのかくわしく知りたくなった
ドミニカ共和国がどういう歴史を持つ国かわかる
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アメリカ大陸発見後のスペインが、先住民族を殲滅していくその方法を現地に同行していた宣教師ラス・カサスが詳細に記述した本。
この本を読むと何故、あれほど高度なマヤ文明が忽然と歴史から消えるのか、またインカ文明の空中都市マチュピチュがあれほどの高山にあるのかが、容易に想像できるようになります。
読後、テンションが低くなり、スペイン人が怖くなります。
またこの本は、解説にも記載されていますが、政治的にスペイン攻撃の際に多様され、スペインの没落に一役買うことにもなっており、正当な歴史的評価がされ始めたのは、1940年代からとのこと。
歴史の側面を補填する上では、必読の本かもしれません。
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この古い書物そのものについて私などが評価できるものではないが、解説を読んで思ったことを簡単に書き記す。
本書はキリストの教えに忠実にしたがい、その正義を守るために、スペイン国王や貴族に注進するために書かれたものであり、インディアスと呼ばれるいわゆる新大陸においてのスペイン人の無法ぶりを網羅的に描写している。
しかし、著者である聖職者ラス・カサスの思ったような、スペイン人の無法をとどまらせ、インディオたちの権利を守るために本書が使われたのは、著者の存命中に過ぎなかった。
本書での告白により、当時の覇権国家であったスペインの国際的な評判は著しく下がり、周辺国の思惑と絡んで国力は衰退。何世代も後になってスペイン本国のもつ国際的な影響力が微々たるものとなったころ南米で起こった、本書が記されたころに入植したスペイン人の末裔である「インディオ」の独立運動の際には、本書がその戦いの大義を示すものとなったという。
聖職者として、キリストの教えに忠実であった著者の行動はまっすぐであったにもかかわらず、その結果はスペインにとってことごとくマイナスな影響を与えることになったことは皮肉である。階段を一度転がり始めたら、もう止めることはできないのだろうか。私は歴史の研究者ではないので、本書の内容とその後の扱いを知り、人間の悲しさばかりを思った。
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タイトルに簡潔な報告、とあるくらいなので本当に簡潔な報告です。読み始めは、スペイン人の極悪非道ぶりに寒気がしますが、読み進めると各地域(キューバ、ユカタン、グァテマラ、ペルーなど)でほぼ同じ内容の繰り返しです。
まずスペイン人が入植すると、インディオ達は羊のように従順で、親が子にするように世話を焼き、無理な要求にも応えるが、最終的には虐殺される、というものです。また各地域での犠牲者の数も百万単位で報告されています。
インディオの族長が、拷問されたあとの死刑執行を待つ僅かな時間での宣教師との会話で、天国にキリスト教徒たちがいるのなら、二度と会いたくない、いっそ地獄に行った方がましである、と言い放ったのが印象的でした。
現実に中南米の文明は、ヨーロッパの勢力によって滅ぼされているので、まったく嘘ではないでしょうが、かなり誇張があるのは、と途中から感じるようになりました。ジョン・ラーベの『南京の真実』に似た読後感があります。
ラス・サカスは多少大げさに書いてでも、スペイン国王に現状を理解してもらって、インディオの窮状を救いたかったのだろう、と良い方に解釈しました。生涯に大西洋を6回も往復し、92歳まで生きたキリスト教的信仰心の厚さに関心しました。
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(1977.06.27読了)(1977.05.19購入)
*本の帯より*
新大陸発見後40年、希望に満ちた新世界に何が起こったか?
ラス・カサスは、征服者に蹂躙されるインディアスの内実を鋭く告発する。
インディアスというのは、コロンブスによる新大陸発見後にスペインによって征服された地域、言い換えれば、ラテン・アメリカのことです。
コロンブスによる新大陸の発見後、そこで何が起こったのかを現地に行ってスペイン本国にレポートしたのが、この報告書です。
1977年3月に中南米へのパック旅行に参加し、マヤ・アステカ・インカの遺跡を巡る旅をしてきたのですが、印象としては、スペインによるラテン・アメリカ征服の旅というものでした。沖縄に行くと沖縄戦と米軍基地の旅という印象になるのと同じです。
その後、この本に回り逢って、新大陸発見というのはどういうことだったのか、キリスト教の果たした役割というのは、どういうものだったのか、という事を知り、大変ショックを受けてしまいました。ヨーロッパやキリスト教に対する認識が180度転換したきっかけになった本です。
カリブ海に浮かぶ島々の住民がことごとく殺戮されてしまった結果、労働力としてアフリカから黒人が連れてこられたので、カリブ海周辺の島々に現在住んでいる人たちは、黒人系の人々、という事になるわけです。
ぜひ皆さんに読んでいただきたい一冊です。
【目次】
凡例
地図
この『簡潔な報告』の趣意
序詞
インディアスの破壊についての簡潔な報告
エスパニョーラ島について
エスパニョーラ島の諸王国について
サン・フワン島とジャマイカ島について
キューバ島について
ティエラ・フィルメについて
ニカラグワ地方について
ヌエバ・エスパーニャについて(1)
ヌエバ・エスパーニャについて(2)
グワテマラ地方と王国について
ヌエバ・エスパーニャ、パヌコ、ハリスコについて
ユカタン王国について
サンタ・マルタ地方について
カルタヘーナ地方について
ペルラス海岸、パリア、トリニダード島について
ユヤパリ川について
ベネスエラ王国について
大陸にあってフロリダと呼ばれる場所にある諸地方について
ラ・プラタ川について
ペルーの数々の広大な王国と地方について
ヌエバ・グラナーダ王国について
〔結辞〕
〔付記〕
訳注
解説
ラス・カサス年譜
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植民地支配されていた地域は世界中にあるけれど、
南米の人は西洋的な人が多くて、なんでかなと考えていた。
この本を読むと、「原住民は全滅されるくらい殺されたから」というひとつの仮説が成り立つ。
でも今のスペインに当時の傲慢さは見る影もなく。調子に乗った人は多かれ少なかれ傲慢である。
日本ばかり植民地支配時代のことを反省させられるのはニントモカントモ。
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インディアス(スペイン人が発見・征服・植民した地域の総称で、現在の西インド諸島、アメリカ大陸の一部、およびフィリピン諸島)でスペイン人が先住民たちを奴隷にし破滅に追いやった歴史を地域ごとにまとめている報告。
ラス・カサス著。
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スペイン人たちの、インディオたちに対する数々の悪行が書かれています。特に、人が良いことにつけ込む、絵に描いたような悪行は、「北斗の拳」に出てくる悪人そのもの!!そしてその全容は、ケンシロウのいない北斗の拳の世界、そのものなのです!!本当にこんな事実があったとは、恐ろしいことです。
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当時の征服者たちがインディオに行ってきたことは許されることではないだろう。もちろんこの本の記述を100%うのみにすることはできないが、インディオが激減したのは事実なのだから。
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コロンブスによる新大陸の発見は歴史の教科書に必ず載っているけれど、スペイン人がそこを植民地とする過程で行った先住民インディオの大虐殺についてはあまり詳しく触れられていない。本書はこれらの悪事を国王へ告発するため、司教ラス・カサスが記した文書。残虐な行為の羅列に気分が悪くなる。自分たちを歓待してくれる従順な人々を、片っ端から殺していく精神は理解に苦しむ。金や財宝に目が眩んだためとされているが、そうだとしても方法が残忍すぎる。ただ殺すだけなら、生きたまま火炙りにしたり、鼻や唇を削ぎ取ってのっぺらぼうにしたりする必要などないはずなのに。本国から遠く離れた土地で、歯止めがきかなくなった暴力。人間は怖い。