紙の本
ブラウン神父再び
2017/05/17 21:34
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作と雰囲気が変わったな、と思ったら前作から12年後に刊行されていたのか。訳が古いせいか、ところどころ読みづらかった部分もありましたが、不可能犯罪ものが多くて楽しめました。しかしフラウボウは今回は出てきませんでしたね。
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The Incredulity of Father Brown(1926年、英)。
ブラウン神父シリーズ。
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意外とブラウン神父の行動範囲って広かったんだなぁと思った一冊。
南米へ行ったり、アメリカへ行ったり。
いかにもなイギリス的な風景がかいま見える「犬のお告げ」や「ダーナウェイ家の呪い」が好きです。
引用した文は、今もやっぱりそういう人が多くいるようで…としみじみした次第。
110P-「こういうタイプの人間にとっては、振りかえってみてすばらしいものになるからという理由で常軌を逸したことをやらかすのがたまらない魅力なんですね。」
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ブラウン神父の第三短編集。
いかにも不可思議な現象に見える事件をあっさりと常識的に
解決してしまう神父の着眼点は健在。
『ブラウン神父の復活』と『天の矢』『ギデオン・ワイズの亡霊』がお薦め。
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むちゃくちゃ読みにくい。
ちょっと、ぼーっと読んでると何が起こっているのかもよくわからない。
しかし、このよくわからない、読みにくい部分が、実はこの作品のキモだったり。
分かりやすく整理されちゃうと、別段どうってことない話になっちゃう。
分かりやすい、読みやすい、だけが本の魅力ではない。
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「ブラウン神父の復活」「天の矢」が特に好き。「犬のお告げ」も、発想はダジャレ(oracle of GOD → oracle of DOG)なのに非常に深い話に仕上がっているのがすごい。
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著者チェスタトンはブラウン神父を探偵とした短編を53作残してるらしい。なんらかのアンソロジーでいくつかは読んだ記憶があるものの全て忘却の彼方へ置き去りになっており、古典回帰をしてみた。
だったら童心から行けばいいのに!と自分でも思うのだが、それはこの不信が100円だったからなのです、ハイ。
訳がやや古めかしく読むのにやや集中力が必要だった、それでも短編の中に様々なミステリ要素が盛り込まれており、読者が真相を導くに足る伏線が用意されている。話によって謎の置き位置が独特であり、これは著者の特徴であるのだろう。古今様々な書評があり散々語り尽くされてることであるが、改めて読み終えて、その技に心酔した。さらにブラウン神父のキャラ造詣であるが、いまいちパっとしない風貌に驚異的な洞察力を持つ、風変わり探偵の元祖と言えるのではないだろうか?独特たる謎を解き明かすには、このおとぼけキャラがやはりふさわしいと思う。
以下特によかったエピソード…
「犬のお告げ」
これこそチェスタトンらしい作風、思いがけない伏線に、ブラウン神父が注目した事象とその意味が素晴らしい!
「ムーンクレサントの奇跡」
密室殺人、そんなことなの?と思えるものの見せ方によって不可能犯罪にならしめてる。これは昔に読んだような?
「ダーナウェイ家の呪い」
オカルト風味漂う作品、宗教家でありながらも論理で犯罪を見抜くブラウン神父。著者の宗教色がなんとなく感じられる。
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『ダーナウェイ家の呪い』がポーばりのゴシックホラー風味の導入で好みでした。『犬のお告げ』はこういう話だったのか。なるほどね。
この『不信』はブラウン神父がアメリカに派遣されて活躍する話で、ちょっと雰囲気が他のシリーズとは違っている印象。あと、「呪い」や「奇跡」など、ネタ的にオカルト色が強い感じもしました。
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再読。
ブラウン神父モノはハズレがねえや、と思って五つ星を惜しげなくポンとつけてしまうのだが、やっぱり本書でもそうなってしまった。だって、面白いんだから仕様がないよね(笑)
「ブラウン神父の復活」
「復活」をこのように使うとは。然し、トリックは他愛もないものだが、チェスタトンの筆力故なのか、読ませられる作品だ。
「天の矢」
これは結構模倣されているトリックなので、若しミステリをあまり読まない御仁が読んだら、「何だ、ありきたりじゃん」と言ってしまうだろう。神父の寛大な(いや、職業的なものでもあるが)心には敬服。
「犬のお告げ」
何でもかんでも、それらしい理由をこさえてそうなんだと一人合点するというのは、悲しいかな、人間の性のよう。犬の鳴き声に、実はそれほどの本質は無く、寧ろ、犬に対して戯れに放った仕込杖に本質があったとは。皮肉と言わざるを得ない。
「ムーン・クレサントの奇跡」
大胆なトリック。これを馬鹿馬鹿しいと思わせないところが、チェスタトンの真髄。吊りあげられたのか、と至って普通に合点がいった。
「金の十字架の呪い」
犯人のささいな、それでいて重大なミス―中世の歴史考証の誤り―から、ローマ・カトリックの愛すべき神父は、教授の身に降りかかった思わぬ事故を殺人事件だと解明した。
「翼ある剣」
密室と言えば、雪密室。本作も、雪密室で起きた殺人を題材としている。トリックは、やはり模倣されているもの(汎用性があるので、使いやすい)であり、読めば「どこかでみたぞ」と思われることもあろう。死体の隠し場所については、しばらくの間、神父が帽子掛けに帽子を掛けるときに身ぶるいをせずにはいられないのは致し方あるまい。
「ダーナウェイ家の呪い」
「翼ある剣」と通ずるものがあるトリックと併せて、犯人の手の込んだ仕掛けに、加えて好き嫌いのわかれる密室トリックが使われている。然し、ノックスの十戒は守られている。
「ギデオン・ワイズの亡霊」
このアリバイトリックには脱帽。といっても、やはり誰か模倣して使っていた様な気がする。だからといって、どうこうというわけはないが、やはりチェスタトンはトリックを創作する天才ではないかと言う感を改めて深めるのである。
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ブラウン神父の短編集、これは第三冊目。
表紙の中央にブラウン神父が配され、その上下左右には収録されている8つの短編のうち、4つを象徴するキーアイテムが描かれています。だからなんだと言われそうですが、こういう細かいディティールに拘った装丁は好きです。
ブラウン神父ものは短編がほとんどで、ページ数で言うと短くて30ページちょい、長くても50ページには満たない状態です。よって、舞台設定や登場人物をようやく呑み込めたかな、というぐらいであっという間に殺人事件が起き、そしてあっという間に解決してしまうというパターンになりがちです。途中で本を閉じずに読み続けると1時間弱で1つの短編を読み終えてしまうので、推理を楽しむというより、純粋にブラウン神父の慧眼に感心する、というのが正しい接し方だとは思います。
しかし、注意深く読んでいけばいくつか読み手側の推理で解決できる作品もあります。この短編集で言えば『天の矢』『ムーン・クレサントの奇跡』『ギデオン・ワイズの亡霊』あたりは、当時の時代背景や舞台装置を知らなくても解けると思います。折角の古典、じっくり楽しんでみてはいかがでしょう。
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トリックはなかなか斬新なブラウン神父の短編集2冊目。中で良かったのは翼ある剣、ムーンクレサントの奇跡。訳がむつかしいが慣れると面白い。新訳で読みやすくすればもっといいのにと思う。
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ブラウン神父シリーズ3作目。以下、収録作。
「ブラウン神父の復活」B…12年ぶりの新作ですが、それをうまくネタにしています。
「天の矢」A…思い込み系のトリック好きです。
「犬のお告げ」A…安楽椅子探偵。本書ベスト。
「ムーン・クレサントの奇跡」A…トリックもいいですが、そこへもっていくまでの話運びが巧緻です。
「金の十字架の呪い」C…理解できませんでした。
「翼ある闇」B…悪くはないのですが。
「ダーナウェイ家の呪い」B…お茶目な反則?
「ギデオン・ワイズの亡霊」A…秀逸なアリバイトリック。
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事件のあるところ様々な場所に出没し鋭い推理力にて事件を解決するブラウン神父。今回も南アメリカから始まり、アメリカ、イギリスと奇怪な事件の解決に縦横の働きをみせるブラウン神父の活躍が満載の短編集です。短編集としては第3作品目とのことです。
黒づくめの神父の出で立ち、黒いコウモリ傘、小柄な体格、くりくりの目。一見して名探偵とは思えないのに、鋭く急所をつき真相をずばっと解明してみせるのがブラウン神父の魅力です。そして、彼が出くわす謎とは、密室殺人、鉄壁なアリバイなどの巧妙なトリックに、ベッド・ディティクテブや入れ替わりネタといった多様なプロット、まさに推理小説ネタのオンパレードなのですが、それだけをみてかつて「日本のチェスタトン」と呼ばれた女性作家もいましたが、チェスタトンの魅力はふんだんなプロットやトリックだけでなく、神秘的で奇想天外な状況や背景、逆説的なセリフやトリック、それに信仰に根ざしながらもあくまでも真相を合理的に見通す冷徹な真理眼など、それら全てが合わさって構成されているものなので、そうそう彼に匹敵させることはできないです。
今回の収録作品は8作品で、なかでも『犬のお告げ』は高評価の作品のようですが、確かに推理物の要素満載の面白い作品ではありましたが、自分としては、密室物の『天の矢』や、凝った始まりとトリックの『ムーン・クレサントの奇跡』、前近代の雰囲気を濃厚に醸し出していた『金の十字架の呪い』『ダーナウェイ家の呪い』なども好みの作品でした。それに『翼ある剣』や『ギデオン・ワイズの亡霊』も推理小説っぽいトリックでこれもなかなか楽しめました。
ブラウン神父物は学生の時に読んで以来だったのですが、あらゆるアイデアとプロットがぎゅっと凝縮された短編集であり、短編推理物としていろいろな味が楽しめる贅沢なバイキングのような短編集であることをあらためて認識しました。
内容そのものが説教と逆説めいているためか、文章は少し読みづらかったかな。あと、活字が小さいのは改善してほしい。
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さて第3短編集である。
本作はいきなり「ブラウン神父の復活」というセンセーショナルな題名の短編で幕を開ける。本稿を著すために色々調べた際に知ったのだが、前作『~知恵』からなんと12年のブランクを経ての刊行だったようだ。そういう背景を知るとこの短編の意味するところも解る。2作で辞めるつもりだったチェスタトンの復活宣言だったのだろう。
で、その「ブラウン神父の復活」だが、いきなり神父が死ぬという展開が衝撃的だ。短編集の初頭にいきなり主人公が死ぬ話である。とはいえ、結局は単なるファース(笑劇)に終わってしまうのだが。この趣向からも作者が愉しんで書いていこうという姿勢が現れている。
本作で個人的ベストを挙げるとすれば続く「天の矢」と「犬のお告げ」となる。
しかし「天の矢」はカーも某作で使っているトリックであり、日本作家の作品でも見られるほど有名なトリックだ。私は確かこのトリックを藤原宰太郎氏の推理クイズ本(綾辻氏も云っていたが、本当にこの本の犯した罪は重い。今は全て絶版になっているようだが)で知っていたという前知識があったので看破したが、それでもなお面白いのはトリックを彩る物語・設定の妙だろう。
「犬のお告げ」は最初意味が解らなかった。特定の出入り口しかない建物で起きた密室殺人を扱っているが、その犯行が犬のお告げとも云うべき鳴き声で暴かれてしまうという内容。しかし再読してみて、この重層的な構成の面白さがじわじわとこみ上げてきた。偶然に頼った部分も大きいが、こんな事を考えるのはやはりチェスタトンぐらいだろう。
名高い「ムーンクレサントの奇跡」は複層階の最上階で起きた人間消失と全く違う場所で見つかった消失した人間の死体というすこぶる魅力的な謎だが、前述の推理クイズ本に図解で解説されていた記憶があり、その時点でもう興趣は削がれるが、全く知らないとなると案外楽しめるのではないか。今でも記憶に鮮明に残っている作品だし。しかしこの真相に納得できるかどうかは別だが。
「金の十字架の呪い」はその題名の示すとおり、オカルティックなムードが横溢しているが、真相はなんとも子供騙しといった感じ。
「翼ある剣」はもう1つの「シーザーの頭」とも云える作品。ある資産家に養子として迎えられた男がその後その夫婦に3人の子供が生まれたため、追い出され、遺産相続できなくなった恨みを3人兄弟のたった1人の生き残りの兄弟を殺して晴らし、遺産を手に入れようとする話。この作者ならではの逆説的解明が成されるが、かなり犯行は際どい。
7代ごとの当主は午後7時に自殺する呪いがあるというカーの諸作を思わせる「ダーナウェイ家の呪い」。そして午後7時に当主が死ぬのも定石どおり。明かされる真相はなかなか心理的錯覚を利用していて面白い。
最後の「ギデオン・ワイズの亡霊」は死んだと目されていたギデオン・ワイズをその後街で見かけたという男が現れ、その男は亡霊に悩まされるならばということで自分が殺したと自白する。しかしその後、当のワイズが転落した崖の裂け目から現れ、その男を許すといい、事態は一件落着かと思われたが・・・という話���明かされる裏側のストーリーはけっこう複雑だ。
さて本作は全般的に奇抜なトリックが目立つが、理論派のチェスタトンらしからぬ実現性の低い物が散見される。代表作とされる「ムーンクレサントの奇跡」をはじめ、「翼ある剣」、「ダーナウェイ家の呪い」など。
とはいえ、「犬のお告げ」や「天の矢」といった名実ともに傑作と云える作品も収録されており、全体的に観て水準以上の短編集となっている。すなわちチェスタトンの復活は成功したと云えるだろう。
率直に云えば、この3作を通じて解ってくるのはチェスタトンのミステリというのは与えられた状況を読者が推理して真相を云い当てることは出来ない。クイーンに代表される知恵比べの要素よりも、異様な舞台設定で起こる事件を解き明かすチェスタトン独特の理論を愉しむところにある。それは恐怖の対象である闇をチェスタトンが知性の光で照らし、白日の下に晒してくれるような効果がある。そして私自身、こうしたチェスタトン独特のロジックに対する渇望感が芽生え、そのロジックと独特な世界観に浸れる事自体が楽しい。だから私の評価はもしかしたら偏愛が篭もっているのかもしれず、正当な評価に成りえていないのかもと思ったりもする。従って合わない人もいるかもしれない。しかしこのシリーズを読むことなく、一生終えるのは勿体なぁと思う。是非とも1冊は手にして欲しい。
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twitterで「なぜフェンスが建てられたのかわかるまで、決してフェンスをとりはずしてはならない」というチェスタトンの名言がやたら流行っていたのを見て、この本を思い出し再読。その昔ミステリーのタネばかりを解説した本を読んだ時に「犬のお告げ」が印象に残ったのを覚えている。今読むとブラウン神父の持って回った話し方がまどろっこしいが、刊行されたのが1926年というから当然かと思う。