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飲んだくれには最適な本だ。
本は「詩神は渇く」。…副題が「アルコールとアメリカ文学」と言うんですけれども(逃)。フォークナー語りぐさだよね、と言うような(どういう評価ですか)。しかし私もアル中患者が異様に多いアメリカ文壇というものは一体どうしたことかと思います、節度を持とうよ(違)。興味深い一冊。
日付あき++++++
本は「詩神は乾く」を続けて読んでました。いや面白いですよこの本。アルコール中毒の四人の作家、アメリカ文学を代表する作家のうちの四人。フォークナー、フィッツジェラルド、ヘミングウェイ、オニール。実のところ、私はこの四人の作家をほとんど知りません。もちろん名前は良く知っているのですが、フォークナーとオニールは手をつけたことがないし、ヘミングウェイは代表作のみ、それもほとんど記憶に残っていない、フィッツジェラルドもギャッピーしか読んでいない有様です。だがもちろん名前はいやと言うほどよく聞く相手で、特にヘミングウェイはある程度酒(それもカクテルの類)を嗜む人間なら避けては通ることのできない名前です。ですが、もしかしたら、それ故にこの四人の作家に特定の思い入れなく、非常に興味深くこの本を読むことが出来るのかも知れません。本書は当時のアメリカ文化、禁酒法時代にどれほど「酒を飲むことが勇気の証明」あるいは「酒を飲むことが正義」とされ、それを礼賛する風潮が育てられていったかに触れています。ヨーロッパでは文壇においてアルコールを飲む作家を過大に評価する傾向はないことに対し、アメリカでは酒を飲むことそのものが一種の才能であり、それがミューズまさに詩神を喚起するものと信じられていたことにも触れられています。この本は、アルコール中毒を断罪していますが、私もそれに賛成します。酒は自らの生活と自律、全てを引き替えにするべきものではありません。それでも酒が魅力を放つのはなにゆえか、それが真に興味深い命題でもあると思いますけれども。