投稿元:
レビューを見る
法家の韓非子の言葉を書いたもの。実際に本人のものではないものも含む。
性悪説に立ち、人は利で動くものだから、それを抑えるために法律禁令が必要と説く。
ただし、その方法は正しくても、それを説くものは恨まれ、うまく君主が使ってくれるのは稀とし、実際自身もその運命をたどっている。
言っていることは正しいと思うが、世が人の世である限り、理想を達するのは難しいと思う。頭ではそう思っても人は感情の生き物であり、頭ではなく気持ちで動く。
原則は原則、ただし外れることがあっても、それは人だからとするのがよいのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
国の収め方が多いが、人としてどういうことをすれば良いのか具体的に考えさせられる著書であると思う。君子は色んなことを考えながら発言したり、行動したりしないと国が平和にならないことには賛同するけれど、具体的な君子論としては論語よりやや君子に求めているもののレベルが高い気がした。
投稿元:
レビューを見る
二千年前に書かれた本だが、現在の政治家や企業のリーダーが読んでも為になる内容。結局、人間のやる事は二千年経った今も変わらないと言う事だろう。
投稿元:
レビューを見る
「新しいことをして波風を立てない方法はない」
2000年以上前に中国で書かれた著書
『韓非子』を読了しました✨
過去の歴史をみると、
正しい施行をした者が、
悪臣の不評や憎しみを買い、
数々の理不尽な死を遂げている事実があります。
それもこれも、
新体制派と旧体制派の、
利害の不一致によるものでした。
新しいことをして、
波風を立てない方法はないですね。
古典には、
人間の素晴らしいところや、アホなところがさらけ出されているので面白いです。
ps
『政治のわからぬ者は、きまって「古いことは変えてはいけない。なれたことは改めてはいけない」というが、聖人は変えるとか変えないとかに耳は貸さず、ただ安定した治国を目指すばかりである。』
韓非子 引用
徳川幕府最後の将軍、
徳川慶喜の言葉で
「家康は日本の為、幕府を興した。
私は日本の為、幕府を潰した。」
というような言葉がありますが、
幕府を潰すとか潰さないというのは、手段であり小事。
目的は両者同じ、安定した治国。
「時代は変わる」
普遍の真理ですね。
投稿元:
レビューを見る
賞罰を説いた二柄、韓非子の憤激である孤憤、説得の難しさを説いた説難は 実践的。備内は 人間不信の章。
目新しく感じたのは
参謀としての心得「説得するには 相手の心理に合わせる」
トップとしての心得「自ら 賞罰の基準を決め、誰にも 賞罰の権限は与えない」
「臣を制するのは〜刑(罰)と徳(賞)なり」
「犬が虎に逆らわないのは 虎に爪と牙があるから〜臣下が君主に逆らわないのは 君主に刑と徳があるから」
「人を信じれば則ち人に制される」
「吾説を以ってこれに当たる」
投稿元:
レビューを見る
岩波文庫の『韓非子』全四冊の第一冊。第一冊には、『韓非子』全55篇のうち19篇を収録。のちに始皇帝となる秦王政の目に留まる「孤憤篇」と「五蠧篇」であるが、第一冊には「孤憤 第十二」が収録されている(五蠧 第四十九は、第四冊に収録)。
投稿元:
レビューを見る
第三
p71 愚かな者は説得するのが難しい。最高の言葉とは耳に逆らい心にそむくものだから、聖人でなければ聞き入れられない。
第四
p77 明君が臣下を召抱えていくには、法によって万事を決し、警戒を十分にする。刑罰を軽くしたりすることは、引いては権威の動揺につながる。
第六
すべて法に照らして、人の配置や賞罰を行うべきである。
すぐれた臣下だからといって特別な交わりをもたない。才能に応じたそれぞれの地位で落ち着いてるいる様が、最もよく治ったありさま。
法とは人の罪過をおしとどめて私情をなくさせるもの。
第十四
厳しい刑は人民の恐れるもので、重い罰は人民の嫌がるものである。その恐れるものでをそろえて人々の邪心をとどめ、嫌がるものをそろえて悪事を予防する。これにより、安泰になる。仁義と恵愛は役にたたず、厳刑と重罰によってこそ国が治められる。
第十七
人君としての災害は、人を信用することから起きる。人を信用すると事を委任するようになってその人物に制約されることになる。
投稿元:
レビューを見る
先日韓非子の入門書を読んで、よかったのでついに本編に挑戦。
以下、染み入る金言の数々。
「以上の十数人の人びとは、みな世間の認める仁徳の賢者で誠実善良な人であり、道術を身につけた士人ばかりです。ところが、不幸なことには道に外れた暗愚な君主に出あって命を落としました。してみると、たとえ聖人・賢者であっても、殺されたり辱めを受けたりすることを避けられないというのは、どうしてでしょうか。つまりは、愚かな者には説得するのが難しいからです。そこで、君子は申しあげるのをためらうのです。それに、すばらしい最高の言葉というものは、耳に逆らい心にそむくものですから、聖人・賢者でなければなかなか聞きいれることができません。大王さま、どうかここのところをよくよくお考え下さい。」
「君主がたるんだ心でいて仕事を成しとげず、柔弱で決断にとぼしく、好き嫌いにきまりがなくて、確固とした立場を持たないという場合は、その国は滅びるであろう。」
「君主がねじけてかたくなで人と和合せず、諫言に逆らって人に勝つことを好み、国家のことを考えないで、軽率な行動で自信たっぷりという場合は、その国は滅びるであろう。」
「君主が臆病で自分をつらぬくことができず、先きの見通しは早いが、心は弱くて思いきりが悪く、頭でよいと考えても、決してそれを行動できないという場合は、その国は滅びるであろう。」
国家というより、企業にこそ当てはまる忠告である。自分自身に言い聞かせたい。
投稿元:
レビューを見る
11月末から少しずつ読み始めて漸く読了。中身が興味深いので書き下し文を書写しながら読み進めて行ったらこんなに時間がかかってしまった。
論語は、形式主義的で説教臭くて解説本以上に読み進むことは無かったし、それに対して人間愛(兼愛)や専守防衛(非攻)を解く墨子はユニークで論語よりはよっぽど面白かったものの、理想主義に過ぎて(そもそも理想が古代の聖王なので)、防衛戦のプロ集団になった一派がいたのは面白いとしても、理論として現実離れしているなと感じていたところ。
その点、韓非子は、人間(臣下)は利己的で自己利益を求める存在という透徹した性悪説に立ち、そのために法制度・賞罰制度を整え、透明性・客観性を持って是非を判断し、信賞必罰に徹してこそ、支配体制が引き締まり、統治が上手く行くことを手を変え品を変え説明している。2000年以上も前にこれだけ見通していたことは凄いと思うし、技術革新はともかく人間の本質は変わらないものと改めて理解した。虚々実々の現実世界には、孔子や墨子よりは、この思想かなと。国のトップからサークルの幹事までリーダシップが求められるあらゆる人にオススメできる。組織管理の要諦という意味では、そこいらのビジネス書よりも参考になる。
説話も含めて面白く、読みやすい。但し、本書の構成は、漢文白文、書き下し文、現代語訳となっており、漢文白文は流石にちんぷんかんぷんなので、書き下し文を精読し、書写し、それと現代語訳を見比べらながら少しずつ理解する形で根気よく読み進めている(洋書よりしんどい)。白文はまたそのうちトライするか・・・。
なお、本シリーズの韓非子は全4巻で本書はその第一巻。これを読むのに3ヶ月掛かっているので、全部読破するのは一年仕事になるかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
本当に優れたリーダーは周りに忖度をさせない。
自分を一歩引いた場所に置き、適材適所にて人材の可能性を引き出す。そして謙虚である。
一方組織の重要課題より、自分を良く見せること、体面を保つことに力を入れている指導者には注意が必要。
それにしても韓非の無念の死には胸が痛む。