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(2008.05.08読了)
1945年4月30日、アドルフ・ヒトラー自殺。5月7日、ナチス・ドイツ無条件降伏。
5月は、ナチス・ドイツが降伏した月です、ということで、5月は、ナチス・ドイツを読むことにしました。
ナチス・ドイツが非難されるのは、600万人のユダヤ人を虐殺したからです。虐殺の舞台になった場所の代表は、アウシュヴィッツ収容所です。ポーランドにあります。
アウシュヴィッツ強制収容所は、アウシュヴィッツⅠ、アウシュヴィッツⅡ(ビルケナウ)、アウシュヴィッツⅢ(モノヴィッツ)と三箇所作られ、ユダヤ人絶滅、殺人収容所として使用された。主舞台は、アウシュヴィッツⅡ(ビルケナウ)です。
●始まり(37頁)
ユダヤ人問題の「最終的解決」(皆殺し)が正式に決定されたのは、1942年1月20日のヴァンゼー会議であったといわれている。
●チクロン―B(39頁)
彼ら(ヒムラーとアイヒマン)の最も重要な議題は、大量虐殺にもっとも有効な方法・手段は何かということであった。種々討議の結果、ガスで殺す以外方法はないという結論に達した。予想される大量の人間を射殺によって処理することは絶対不可能であるからである。
●アウシュヴィッツへ到着したユダヤ人へ(72頁)
「皆さんは、これから入浴し消毒される。収容所では流行病はごめんだ。入浴が済んだらバラックに案内されて、温かいスープを取ることになる。職業的資格に従って雇用されることになるであろう。さあ!衣服を脱いで前の地面に置きなさい。」
(実際は、入浴ではなくガス室へと入れられる。)
●ゾンダー・コマンドー(特別作業隊)(97頁)
ガスで虐殺した屍体をクレマトリウム(火葬場・焼却炉のほかに脱衣室とガス室とを備えたもの)か積んだ材木の上で焼却する仕事に従事した特別作業隊のこと。
屍体から金歯を抜き取ったり、髪の毛をカットするのも彼らの仕事であった。
ゾンダー・コマンドーのメンバーは、ユダヤ人の中から選抜補給された。
●ユダヤ人はなぜ嫌われるのか(127頁)
①ユダヤ人はキリストを十字架につけた(キリストもユダヤ人?)
②金貸しをしていた。彼らには金貸し業しか生きる道がなかった。
③社会のエリート層を形成していた。医師、弁護士、新聞、金融、科学、政治。
④ユダヤ人の存在そのものが悪い。反セム主義。
(反セム主義の真髄は、ユダヤ人であること自体が「犯罪だ」ということである。)
ヨーロッパでのユダヤ人迫害は、ヒトラーによるものだけではなく繰り返し行われてきている。1492年のスペインでのユダヤ人追放は、「1492年のマリア」に詳しい。
著者 鈴木邦彦
1917年 生まれ
1941年 東京帝国大学法学部政治学科卒業
1969年 東光ホーム㈱代表取締役
(2008年5月21日・記)