紙の本
ブレイク前の作者。印象的なヒロイン
2001/08/07 05:48
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投稿者:旅歌 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近作から旧作へと遡って読み進んでいくときは、下手な期待をしてはいけないものだ。特に最近作でいたく感激した場合は尚のこと。ぼくの場合、ジェフリー・ディーヴァーはまさにそれ。初めて読んだのが、1999年に大ブレイクした『ボーン・コレクター』で、わかっているくせに『眠れぬイヴのために』なんてえらく疲れてしまったしね。
そんな理由から、まあ、かなり構えて色眼鏡で読んでしまったわけだが、それほど悪くなかった、というのが読後の正直な気持ちだ。ただし、『ボーン・コレクター』や『静寂の叫び』のディーヴァーはここにはいない。ヒロインの人物造型に類まれなる才能を見せる、現在の作者の片鱗を多少なりとも垣間見ることができる程度。それにしても、やはり最近作ほどの深みはないし、ヒロインの外見から入り込むという常套的な手段をかなり極端に使っているから、ヒロインの好き嫌いが即作品の好き嫌いにつながってしまいそうだ。ぼくの場合、まあ、可もなく不可もなくというところ。
ヒロインはパンクファッションに身を包んだ20歳の女の子ルーン。このヒロインから見たファンタスティックなニューヨーク描写が結構おもしろい。一言でいえば、恋あり、友情あり、冒険あり、の青春ミステリかな。これに殺人事件と、それにまつわる宝探しがからんでくる。こういうの苦手な人はとことん嫌いでしょうねぇ。
筋立てはなかなか凝っていて、油断していたぼくは最後にあっ! と声が漏れてしまったんだけど。これも実は反則っぽくい。ぼくの読解力不足と、見落としのせいかもしれないけど…。う〜ん、、安物のハリウッド映画みたい、とまでは言わないけど、やっぱり今の作者からすれば全然物足りない。登場人物ひとりひとりの内面に入り込んでいかない。ヒロインの女の子は、いかにもオヤジ作家が好みそうなキャラで、救いようの無いバカに見える…(^^;;;。
ご贔屓作家だから読んだんだけど、それ以外の人には薦められませんね。少なくとも、ヒロインのルーンは掃き溜めの鶴には見えなかったし。ルーン物はシリーズであと何作かあるみたいだから、それも含めて訳されているものは全部読むつもり。ひとりの作家の軌跡を辿る意味ではいいのだけど。
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評価が低いのは完成度ではなく、好き嫌いによるものです。翻訳に拠るところも大きいのだろうけれど、主人公のこまっしゃくれ具合が嫌い(笑)。
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「化ける」前のジェフリー・ディーヴァーですね。
ポップでノリの軽い読み物。
これを読む限りでは、ここまでくるとは思いもつきませなんだが。
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主人公ルーンはNYのとあるレンタルビデオ店員で、さえない毎日を送っていた。親しくしていた得意客の家へビデオを返してもらいに行くと、その老人は何者かに撃たれて死んでいた。独創的な発想から、お宝の匂いを嗅ぎつけたルーンは、犯人探しとお宝探しの冒険に魅入られ…。ほんとに初期のディーヴァー作品。主人公が少女(といっても二十歳)だからか、全体的に軽めでポップなノリが、今の作風と全然違うけれど、ちょっとしたどんでん返し(連続技)はやはりこのころからお得意だったようだ。主人公のルーンは、おとぎ話や神話が好きで想像力豊かな、まだ女の子と言ってもいいような女性。建設中(改装中?)のビルの空きスペースにもぐりこんで住み着き、腕にはジャラジャラとブレスレットをつけたちょっとパンクな感じ。殺された老人が借りていた銀行強盗の映画を、持ち前の空想力で大金をある場所に隠した実話だと思いこみ、殺人事件が絡んでると言うのに好奇心旺盛に事件の渦中へどんどん飛び込み、危険な目に遭うという都会の冒険ものといえよう。ルーン視点の合間に挟まれる「サル」という男のモノローグ。実は○○だったとは、思いもしなかった。てっきりルーンを狙う異常者かサイコキラーかと思った。しかも味方だと思ってた○○が黒幕(殺し屋)だったり。ライムシリーズほどには夢中になれなかったけれど、一捻り二捻りする展開で読者を楽しませるサービス精神が旺盛なところは◎。でも、このタイトルのセンスはなんだかB級の安物っぽくて…どうにかならないものか(苦笑)
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ライム&アメリアシリーズなんかで、サイコものポイ犯罪を書いてばかりかと思いきや、こんな明るくてポップな感じな文が書けたんだ。楽しかったです。主人公ルーンは格別ですよ。そしてやはりどんでん返しの連続で、最後まで息は抜けませんでした。さすがだ。一日じゅうヴィデオの貸し出しなんてうんざり―レンタル・ヴィデオ店で働くルーンは、おとぎ話が大好きな二十歳。ある日延滞ヴィデオの回収にいった彼女は、顔なじみの老人が殺されているのを発見する。現場に残された一本のB級映画のヴィデオを手ががりにルーンは犯人探しを始めるが、やがて彼女はマンハッタンに隠された大金を巡る事件の渦中へと…
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5月6日 250ページ付近。
リンカーン・ライム、キャサリン・ダンスシリーズと比べ、キャラクター・事件等はちょっと軽めな進行。でも、この辺まで来ると早く読み進めたい心境。
図書館で借りてハヤカワ・ミステリ文庫の初版を読んでいるが、前に読んだ人が丁寧に誤植に〇をつけてあるから目立つのか、かなり多い。自分でも3ヵ所見つけたので〇をしておいた。
5月10日 読了。
主人公は「20歳女性でレンタルビデオ店のアルバイト店員」というだけで上記シリーズとは趣が異なるのがわかると思う。
でも、ディーヴァーらしい視点の入れ替えで普通にだまされ面白い。ただ、上記シリーズを読んだ後だとやはり物足りなさを感じる。知らずに読めばいっぺんで好きになっていたと思う。
やはり、作者の初期作品から読み進めるのが一番だと再認。
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椎名誠さんがジェフリー・ディーヴァーの『ボーン・コレクター』を誉めていた。
ぜひ読みたいと思って地元図書館のサイトで調べてみると、
依然人気が高いらしくいつも予約が何件か入っている。
すぐに借りられそうにないので、とりあえずこの作品を読んでみた。
「ルーン」シリーズの第1作目。
まだ治安が悪くてゴミだらけでワールド・トレード・センターが健在なころのマンハッタンが舞台。
この手の本について何か書くと、どうやってもネタバレにつながってしまいそうでこわい。
終盤の畳み掛けるような連続どんでん返しは圧巻。
主人公のルーンは小柄で痩せていてオードリー・ヘップバーンにちょっと似ているらしい。
最近の女優さんに当てはめると誰がしっくりくるのだろう?
そう考えながらずうっと読んでいたのだけど、
とうとう思いつかなかった。。