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紙の本
福沢諭吉は真の平等主義者だったのか
2004/10/23 07:43
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:未来自由 - この投稿者のレビュー一覧を見る
二十年ぶりに『学問のすすめ』を読んでみた。やはり、この書には批判せざるを得ない問題がある、とあらためて感じた。
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり」との言葉は名言であり、有名である。しかし、この言葉は福沢諭吉の言葉であろうか。
アメリカ独立宣言の「神は…」を「天は…」にして福沢諭吉は「言えり」と言ったのであろう。「言えり」とは、そのように言われているという意味で、福沢諭吉がそう思っているかどうかは別である。
福沢諭吉は、現状の社会を「貧しきものあり、富めるものあり」といい、その原因は学問の有無にあるという。
そして、職業に貴賎なし、と言いながら、賎しい職業につくのは学がないからと蔑視的な考え方を述べている。また、貧賎の生じたる原因は「己が身より生じたる」と断言する。
はたしてこれが平等な考え方であろうか。オギャーと生まれ出たとき、貧者の家に生まれたのは「己が身より生じたる」と言えるのだろうか。
この本が出版された明治初めに、どれだけの人が学ぶ機会に恵まれたのであろうか。けっして同じスタートラインではない。
そもそものスタートラインが同じでないのに、どうして貧しい人の原因は「己が身より生じたる」と言えるのであろうか。
また、「政府は国民の名代にて、国民の思うところに従い事をなすものなり」という。この言葉の趣旨には賛成できる。
しかし、福沢は続けていう。だから何でも政府に従えと。従わないのは「無知」のなせるところと説く。一方通行もはなはだしい。
そして、政府と国民は同等と言いながら、学問をして「政府と同位同等の地位」に登って来い、と言う。これのどこが同等なのだろうか。
「学問のすすめ」には多くの矛盾が溢れている。学問の必要性はもちろん同意するが、社会の貴賎や差別をすべて無知のせいにしてしまう感覚には同意できない。
何よりも、こんな主義では真の平等は実現しない。福沢諭吉を徹底した平等主義者と説く説には、やっぱり同意できない。
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