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れっきとした文学ですが、珍しいことに物語自体もとても楽しい。
帝政ローマ、豪華絢爛たるネロの時代。ゲルマンの姫リギアと、名門の青年将校の恋愛をメインストーリーに、初期キリスト教の熱狂と伝統的ローマの理性芸術が互いに高みを競います。
この全編を息をつかせぬ筆力で描き切り、読後は軽いめまいを覚えます。
乗るまでやや時間かかるのが難ですが、文学の始めにいい一冊だと思います。
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ネロ帝統治期のローマ帝国を舞台にした歴史小説。初期キリスト教の拡大を描く。
ローマ文明の悪徳の象徴であるネロ、逆にローマ文明の美徳の象徴であるペトロニウス、そしてキリスト教に感化されるウィニキウスの3人を軸に、文明の衝突、変容をうまく描き出している。当時の文化や情景の描写も上手い。話の筋も面白く、登場人物も魅力的、何より初期キリスト教徒の純潔さが非常に印象深い。最後の《クオ・ワディス・ドミネ?》の一言が心に響く。
なお、著者は分割期のポーランド人で、ポーランド人を、弾圧されながらも最後には勝利を得るキリスト教徒に投影しているんだそうだ。
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河野与一訳(現在絶版)で読了。「QUO VADIS DOMINE?」――主よ、どこへ行き給う… ネロによる火事、そしてキリスト教徒たちへの迫害。ローマを去ろうとするペテロが見たその姿は、彼が逃げ出そうとしたまさにその町へと向かっていって…。何度読んでも心震える名作。地上のものは火や悪徳や狂気の元に滅び去っても、永遠に生き続けるものが他にあるのだという確信を、読む度に与えてくれる励ましと覚醒の書でもある。ポーランド人シェンキェヴィチが祖国の人々に訴えたかったメッセージもまさしくそこにあるのだと…恋愛物や歴史物としても面白く読める波乱万丈の物語だが、やはりその圧倒的な信念に基づく信仰の物語が何より強く心に残る。年頭にふさわしい一冊。全三巻。
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ネロ帝の暴君らしさはメインに書かれてるわけではないけど、ローマ帝国時代のことが具体的に書かれてる。リデアがいなくなって、最後にやっと発見されるまでは一気に読めた。
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読んだ瞬間、違う世界に入り込んでしまった違和感を感じるくらいにローマの空気が濃厚に漂ってくる。
そして台詞の饒舌さにびっくりする。
なんだそれはという感じだが、すぐに種明かしされます。ギリシャ人め!
とりあえず上巻は、暴君ネロに仕える趣味の調停者ペトロニウスの弟分(甥だったけ記憶あやしいです)ウィニキスが禁じられたキリスト教を信奉する家の養女(ほんとはお姫様)のリギアに恋するが、敬虔なキリスト教徒であるリギアは彼を拒んでこっそり逃げ出した。ウィニキスは彼女を懸命に探しながら、しかし見つからないので苦しい思いをしつづける。みたいな内容。
これからどうなるのか楽しみです。
それにしても岩波文庫著者紹介してくれればいいのに。題名に惹かれて買った(星野之宣の短編とおなじタイトル)んで、まったく著者がどの国の人で、どの言語で書かれた本なのかが分からない…
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年代:紀元1世紀
舞台:古代ローマ
ネロ帝の支配とキリスト教徒の対立、そして主人公の、キリスト教徒への恋を主軸に、物語は展開していきます。
主人公の恋もいいですが(でもちょっと引っ張りすぎ)、ペトロニウスとその奴隷の恋が、斬新で良かった。
今までのペトロニウスにそんなイメージはまったくなかったけれど、これはこれで素敵。
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紀元後すぐの時代。ローマの皇帝ネロの時代のキリスト教徒の迫害とそれに愛で立ち向かう使途パウロ,ペテロの話。当初はキリスト教などに見向きもせず,ネロと同様に欲望と怠惰な饗宴に埋もれていた軍団将校のウィニキスは,キリスト教徒の娘リギアに恋し,次第に敬虔なキリスト教徒になっていく。ネロは恐怖により人を縛ろうとする反面,キリストは愛により人を幸福に導こうとした。愛は恐怖よりも強い”たが”です。一方,ウィニキスの叔父でありネロの側近のペトロニウスはキリスト教を認めながらも,自分に正直に生きたいと思い,最終的にはネロから死の宣告をうけてしまう。使途ペテロがネロの迫害に会い,ローマから逃れようとした時,キリストが現れ彼に言ったことばが本著の題名である,クオ・ワディス・ドミネ?(主よ,いずこに行かれるのですか?)である。これを聞き,ペテロは敢えて迫害から逃げる道を選ばず,道をローマに引き返し,殉教してしまうのである。本著は洋書の和訳版だが,和訳が非常にすばらしい。ただ,この時代の特有の言い回しか,”ヘラクレスに誓って!”みたいなのは,自分の生活の中にこのような言い回しがないので,いまいちしっくりこない。本書は上中下の3巻だが,この特有の言い回しやストーリーの流れを掴むのに上巻の半分まで根気よく読む必要があった。(途中で読むのをやめようかとも思ったくらい)。ただ,読み進めるにつれ,ひきこまれ,ネロの残虐さに,ほんとにこんな事があったのかと眉をひそめ,最後には楽しかったと思うことが出来た。
全3巻。
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良家のイケメン軍団将校が、人質の美少女にストーカーしまくる。
って感じで、「大丈夫なのか、この話は?」とちょっと不安になる。
ただ、色々な人物が出てきてかなりグイグイ引き込まれるので、続きが楽しみです。
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古本屋で上下2冊セットで購入し、そのまま旅行に持っていったら、中巻抜けだった・・・!感想は下巻にて。
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皇帝ネロの時代のローマ。武人ウィニキウスは叔父の知人の家に人質として身を寄せるリギ族の王家の姫のリギアに思いを寄せる…。古代ローマの奴隷を使いこなすお貴族さまの生活は頽廃で貪欲で、俗っぽく描かれ。人物の不安、期待、妄想、欲望、そして敬虔さなど繊細な心理描写に引き込まれます。ウィニキウスのごくごく単純な俺様何様な恋心は猪突猛進。リギアの気持ちを想いやる余裕はほとんどなし。恋ってすごいなあ。そしてローマ人の倫理とキリスト教倫理のせめぎ合いは非常に面白いです。さてすごいとこで切られてしまいましたが…どうなるか。
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冒頭のペトロニウスとウィニキウスの戯れ的貴族トークの長さが苦痛だったが、それ以降はゆっくりと心理描写を含みつつ、読み応えがありました。イエスが十字架にかかった、同時代のローマ。キリスト教がまだユダヤ教の一宗派だった時代、ローマにまでその波がたどり着きゆっくりと飲み込んでいく様を描いた対策。タイトルの「クオ・ワディス」とは、「主よ、どこへ行かれるのですか」という意味。ペテロがイエスに尋ねる言葉だが、ペテロはなかなか出てこない。上巻のラスト、うやうやしく教えをたれる大使徒、しかし素朴で飾らない老人として登場。名作です。
12/5/4
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教科書でならった歴史上の人物達が人格を持って生活している様を楽しめる人には◎
古代ローマ、ギリシアやキリスト教に興味があればもっと◎
物語の動きは遅く、上巻終わりでやっと始まる。
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皇帝ネロの時代のローマ帝国。
その残虐性の中で、いかにキリスト教が根付いていったのか。
ローマの兵士とクリストゥス(キリスト)の信者である女性の恋愛を中心に、ローマの歴史が描かれます。
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■クオ・ワディス(上中下) ロバート・シェンキェーヴィチ 岩波文庫
【前篇7‐2 重生論】
キリスト論と深く関わりつつも、イエス路程の補足としても加えたい作品です。舞台はローマ帝国、第五代皇帝ネロ統治の世。ローマ人の青年貴族ヴィキニウスが主人公です。トーガがよく似合うギリシャの彫刻のように無駄のない肉体を持つ、若さがほとばしる青年です。その傲慢さすらも芸術的と言ってしまいそうな、才気煥発、血潮がほとばしる印象の主人公です。しかしその思い人は他国からの捕虜である美しいクリスチャンでした。女性にひかれるあまり、キリスト教徒の群れに出這入りするようになるうちに、少しずつ自分の心が変わっていくことをヴィキニウスは感じ始めます。そんな折、歴史にも知られるローマの大火がおこり、皇帝ネロはその責任をクリスチャンに押し付けます。そこから世にいう大迫害が起こり、命と信仰のジレンマが絶え間なくまきおこります。
クォ・ワディスというのはあちらの言葉で「どこに行かれるのですか」という意味です。とても有名な言葉ですが、これは作中で使徒ペテロがイエスに対して投げかける言葉として登場します。小説の最後のシーン、迫害の手が迫ったローマから逃れるため、アッピア街道をゆくペテロが一人の青年とすれ違います。そのローマに向かう青年がイエスその人でした。その時、ペテロがイエスに発した言葉がこの、クォ・ワディスです。イエスはペテロに答えました。「あなたが私の民を捨てるのならば、私はもう一度十字架にかかろう」。ペテロは地に伏し涙を流します。そして踵を返し、ローマにもどり、殉教の道をたどるようになりました。
『クォ・ワディス』は回心の物語です。イエスの十字架により霊的重生の恩恵を受けるようになったクリスチャンの、その歴史の断片がここに刻まれています。
<キリスト論にまつわる小説>
三浦綾子 『塩狩峠』
レフ・トルストイ 『光あるうちに光の中を歩め』
シェンキェーヴィチ 『クオ・ワディス』
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映画を見る前に読もう、と頑張る
これが、翔ぶが如くより、もっと読みづらい
登場人物名は当然カタカナだし
だらーと改行無しに続く文章
やたら神様への賛辞が挟まる
上巻はリギアと主人公の出会いから別れ
リギア探し、キリスト教徒の集会
再会から再びの奪還作戦終了まで
パウロとペテロが登場する
歴史オタクっぽい小説
前に読んだ「我が名はネロ」
http://booklog.jp/users/gohangadekita/archives/1/4122042429
と、当然ながら共通する登場人物も多い
アクテはすでにネロの寵愛を失い
ボッパエア全盛の時代
ペトロニウスの阿諛追従ぶりが、なかなかタイヘンだ