紙の本
ニッチなヒーロー
2006/01/05 15:17
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんか初対面なんだけど無闇に失礼なことを喋るけど憎めない人って、案外いそうでいて、やっぱりなかなかいない。含蓄のある台詞、内心思っていても、口に出すのはちょっと恥ずい。だから代わりにネットで書いたりして。
それでも本音がだらだらと口から出てしてしまうタイプの種類の人間はいて、愛されるキャラとそうでない人の間に違いはあるわけで、そのくらいは計算しておいて欲しいもの。
そういう人物というと、まず平井和正の描く犬神明(「狼男だよ」)のジャン=ポール・ベルモンドを潰したような顔というのが浮かぶし、その造形は寺沢武一「コブラ」に引き継がれているが、本書の主人公、沢崎はそんなバタ臭くない、もっと日本的、時間つぶしには囲碁の本を読み、藤沢周平の登場人物が200年遅れでやってきたようなストイックさも垣間見える。
そんな私立探偵の今回の事件はというと、事務所を訪ねて来たしょぼくれた男が誰だかの行方を探しているというだけのことから、財界、政界にまで発展していく大事件になるのだけど、徹底して自分のペースは崩さないところが売りなわけ。都知事の弟で足の長さが売り物の俳優に会っても、とりあえずサイン下さいと言って場を和ませるなんてことは決してやらない。そんな依怙地なところもカワイイのだろうか。うひーっ。
近頃はアイドル歌手だって笑いを取れるボケ芸が要るご時世であって、知性やウィットなんてもんは流行らない。自分らしさの追求が人生の一大事であって、為すべき義務、あるいは昔風に言えば義理と人情なんて負け犬の言葉。優しさは弱者の証明。
70年代に犬神明が人類の罪を告発したように、沢崎はそれらを笑う強者の尊大さ、無抵抗の怠慢を告発するのだろうか。ニッチなことではある。誰も傷つかず、何も失わず、そんな日常的な予定調和、言葉にしたりしなかったりする優しさを黙々と演出し続ける、スローライフでロハスなヒーロー像なのだ。(自分でも意味わからん)
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私立探偵沢崎、ここに誕生!渋い探偵です。セリフも渋過ぎ。行方不明のルポライターを探してただけなのに、でかい事件のど真ん中へ入っていってしまった沢崎。また私を魅惑する登場人物出現。原氏の経歴も面白いですよね。フリーのジャズピアノマンだったなんて。これからも期待しております!
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すごく久しぶりにハードボイルドと言われるジャンルの作品を読みました。確かに主人公が私立探偵で、しゃれた会話ができたり(ひねくれた会話と言うべきなのかな)と言うのがあっても、無理にハードボイルドのジャンル訳しなくてもいいかもしれない作品です。
かつて、名無しのオプシリーズを夢中で読んでいた時期があり、その時期を思い出していました。それくらい、この主人公の沢崎はなかなか魅力的です。
本筋とは違うけど、たぶん、この作品が発表された時には知事ではなかったはずだけど、本作に登場する東京都知事の向坂晨哉の印象が、どうしても、現東京都知事の石原慎太郎氏にかぶってしまうのです。先見の明があったのかな?2004.8.15
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探偵沢崎の記念すべき登場第一作。
名を名乗らぬ依頼者からあるジャーナリスト佐伯氏を探す依頼を受けるが…。
文庫版には短編も収録されている。
沢崎さんの一人称で進む。彼言葉ひとつでもしっくりくる。
3度目の読了済み。
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やばいです。
こんなにおもしろい作家さんを、いままで見逃していたとは……。
ストーリーの構築がきっちりしてるから、疑問に思うところも(あまり)ないし、とにかく読みごたえがあります。
登場人物のモデルとなったであろう人たち、大金持ちの家庭事情、叩き上げの刑事の登場など、とにかくうまい!
そして、主人公の沢崎が、かっこよすぎ!!
こういう作家さんとお仕事してみたいなぁ……と思います。でも、この人は早川書房さんとしか、お仕事する気はないんだろうなぁ。。。
早く次のを読まなくちゃ! っていう気にさせられました。
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友達が沢崎さんにはまってた…借りて読んだらはまったw
ミステリー?ハードボイルド?何でもいいがカッコイイ♪
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結構読みごたえがありました これってシリーズ化されてるんですね 探偵沢崎が渋いです 人探しから、過去の銃撃事件にまでおよんだ捜査を少しずつ解いて行く過程が面白かった と思いつつも最後に一気に解決って感じが本当の所.. 続編も読みます
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こういうものをハードボイルドというのだなと思った。
猫も杓子も携帯電話の今読むと違和感もあるし、携帯があればこの事件は解決するんじゃ…と思うところもあるけど、その辺目をつぶれば本当に面白い。
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直木賞作家、の言葉に惹かれて購入。この作品の次に発刊されたものが直木賞受賞作品らしい。ハードボイルド、というジャンルの定義がイマイチ分からない私だが、これを読んでなんとなくハードボイルドを知った気になった。
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原りょうの処女長編。
主人公沢崎は年齢から言うと中年のおじさんなのだが、とても渋い。
そして彼の台詞が特に格好良いのだ、これが。
ハードボイルド好きの方はぜひ。
そして実は原稿盗用を恐れた作者により、本書にはある仕掛けがある。ぜひ探してみては。
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2007/6/23
最後にどんでん返しがあったものの起伏が少ないストイックなハードボイルド。
ストーリーにというより主人公に揺れがないからかな。
私は揺られたいんだけど。
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私立探偵沢崎シリーズ、堂々の開幕!!
チャンドラーに捧げられた長編デビュー作。
あまりにハードでカッコイイww
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現実の世界では、ハードボイルドな男は苦手ですが、小説の中ではものすごく好き。なんで現実の世界では苦手かというと、なんだかとてもヤニ臭そうだからです。
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心理描写が極力抑えられ、登場人物の「言うこと」「やること」によって各々のキャラクターが形容される。そのような文章様式にあって、すべてのおのれの言動に意味を持たせつつ奔走する沢崎さんがいちいちかっこいいです。未知の状況に対する彼の行動を追っていってても、伏線がつながったときのカタルシスとともに気づく「あのとき」の行動の意味を振り返ってみても、無駄がない。凝らされたプロットにはもちろんのこと、沢崎さんのかっこよさでもどきどきさせられてしまうシリーズ第一作。
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本当に最後の一文まで読んで初めて全部の意味が分かる本
題名と内容がちゃんとリンクしてる本は大好きです
読んでるとなぜかゲームの探偵神宮寺とかを思い出す