紙の本
魚たちとの戯れ。
2002/06/17 15:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
室生犀星の、魚を扱った詩と小説の集成。会話文だけで成立した表題作「蜜のあはれ」が特に面白かった。金魚の少女が自分ことを「あたい」と言ったり、言葉や仕草がお転婆(懐かしい響き)な感じて可愛い。小悪魔といったところか。主人公の老人は犀星か。「鮠の子」は「蜜のあはれ」と少し似た感じである。「三本の鉤」は、どこか頼りなげな魚を思わせる女、おりえが印象的。
矢川澄子氏による森茉莉とからめた解説も良かった。不思議に魅力的な一冊である。
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金魚とをぢさまの恋物語。老人と幼女というところが既にヒットです。かわいくて、ほんのり漂うエロさがいい。
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中学のころに読んで、何が何だかわからなかった。
ただ、金魚の“あたい”が可愛かったって印象。
もう一度、読んでみようかな。
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いれるの忘れてた。これはスペインで読んだのだった。サラマンカの日本語文化センターは驚くほどセンスのよい古典文学がたくさんあって、目移りした中で選んだのがどうしてかこれだったw宿題と遊びで忙しいなか毎日学校帰りに図書館に寄って少しずつ読んだ。全文会話で進行してって(すごいよね)一気に読もうと思えばできるんだけど、少しずつ味わいたい感じ。金魚ちゃんが不思議となまめかしくておかしかった。犀星は詩も好き。「けふはえびのようにかなしい」(だっけな?)とか。
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こんなにも日本語に惹きつけられた作品はなかった…と思わせられるほど、良かった…。おじさまと金魚…わすれられない。
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老小説家ををじさまと呼ぶ、3歳の金魚のあたい。
この金魚がとても魅力的で引きつけられてしまった。
時にはとても美しい若い女性に姿を変え、
また時には金魚の姿のままでをじさまのおなかの上を
ぴちゃぴちゃと這いまわる。
そしてそのはすっぱな、でもとても女性らしい言葉遣い。
をじさまでなくても、金魚は君だけで十分だと
いいたくなるだろう。
ただ可愛がられるだけの生き物は
可愛がられ方をよく分かっている。
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矢川澄子 編。密のあはれ愛魚詩篇寂しき魚界凍えたる魚七つの魚寂しき魚魚になつた興義鮠の子三本の鉤魚鯉青き魚を釣る人火の魚老いたるえびのうた編纂を見ておわかりでしょう、これは矢川澄子による室生犀星「魚文学アンソロジー」。この本に附されている編者あとがきは、編者からの「森茉莉への手紙」です。1995年1月7日付けで、既に亡き茉莉さんに向かって、犀星について親しげに語りかけられています。私の中には、密かに「父の娘たち」(これは矢川澄子の著作の題名から)というジャンルがあって、それらの本を集めた場所の傍らに、室生犀星(数冊しか持っていないけれど)を配架しています。言ってみれば、私の集めた室生犀星は、「女ひとから見た犀星」ということになるのかもしれません。意図したわけではなかったのに、今見直すと、そういうことになっていました。
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「をぢさま」と呼んでくれる金魚、お掃除にお料理にお使いまで行ってくれる金魚、お腹でぴちぴちはねてくれる金魚、私もほしい。
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室生犀星の小説・詩から、魚に関わるものを選び出したアンソロジー。その核になるのは、晩年に著された「蜜のあはれ」「火の魚」だが、編集が非常にうまくできているので、最初から最後まで順に通読することを勧めます。冒頭の「蜜のあはれ」の前半あたりでは、ただの変態小説かと思いきや、読み進めるにつれ、これはすごいかも、と思いはじめました。生と死、エロスとタナトス、生き物の業(ごう)。著者が描こうとしているものは一貫しています。
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普段読みなれない文章だったので読みにくかったです。
可愛いかったと言えばそうでした。金魚がしゃべるなんて素敵ですものね なんというかスイミングスクールの更衣室の臭いがしてきそうな本でした。