アダルトチャイルド物語 リカバリー日本版 みんなのレビュー

投稿元：

レビューを見る

夫がＡＣだと自覚してから、取り急ぎＡＣについて調べようと本屋で購入した。一週間ほど旅行に行くため、図書館へ行く余裕がなかったのだ。
夫はこの本は結構きつかったと言っていた。特にアルコール依存症の世代間伝播のあたりか。様々な事例が載っていて読み応えがあったし、ＡＣについて理解が深まった。2006年7月

投稿元：

レビューを見る

アダルトチャイルドという言葉は、もともとアルコール依存症治療から生まれた言葉だ。元来は、アルコール依存症の親を持った子供が、成人後に依存症家庭ゆえに獲得してしまった思考様式や性格によって苦悩したり他者との不和を抱えることを指す。現代では、アルコール依存症に限らず、親同士の不和や脅迫的なルールが存在する家庭で生まれ育った人々に共通する苦悩を指すことが多い。Adult child of AlcoholicsだけでなくAdult Child of Dysfunctional Family(機能不全家庭)を含むのである。

本書は1996年に発行された古い本である。海外の臨床関係者によるアダルトチャイルド向けの自助本である「リカバリー」の翻訳に関わった著者が、日本国内の臨床例をもとにした自助本として執筆したものだ。実例、アダルトチャイルドが陥りがちな認知の歪み、対処法について書かれている。紹介されている例はもっぱらアルコール依存症家庭に関するものだが、別な形態の機能不全家庭の出身者が読んでも参考になる部分は多いと思う。ただ、もっと新しい本だと、アルコール依存以外の機能不全家庭の類型についても触れられているので、本書よりそちらを優先して読んだほうが良いと思う。

類書では見られなかった本書でハッとした指摘は「機能不全が発生すると問題は何世代にも及ぶ。家族史は二代さかのぼれ。」ということ。
自分の周りの人に当てはめてみると、これは怖いくらい当たっている。