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投稿者:米作り - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本国内には「フェミニズム=過激な思想」という方程式が、疑いもなく蔓延しているように思える。「どんなときも、女が一番」これが、フェミニズムのすべてなのだと。
女性の権利獲得の歴史を語る上で、フェミニズムの役割を無視するわけにはいかない。男女の別にかかわらず、人間は誰でもよりよい社会的生活をしたいと願っている。フェミニズムは、その中でも女性に焦点を当てたものだ。本書は、様々な種類のフェミニズムの紹介、主要なフェミニストとその著書の紹介がなされており、内容、分量ともに「フェミニスト入門」の名にふさわしい構成となっている。
本書を読むと、フェミニズムは悩むことなく女性の地位向上だけを叫んできた思想ではないことが分かる。私は女であることから生じる「問題」と「結果」をごちゃまぜにして考えていたことに気づかされた。これだけ自己批判を繰り返して積み重ねられてきた思想ならば、フェミニズムを毛嫌いしてきた人でも、少し見方が変るのではないか。
レポートの作成にもよし。ワイドショーの女性コメンテーターの意見に対抗するための体力づくりにもよし。フェミニズム嫌いのあの人を説得するもよし。フェミニズムに反論するための研究にもよし。「男と女」について考えたくなったとき、ぜひ読んでもらいたい。
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投稿者:死せる詩人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ペダンチズムという言葉がある。衒学趣味というやつだ。専門書なんかを読んでみると、ひたすら専門用語が羅列されていて、しかもレトリックで粉飾された文章であったりして読みづらくとても読者の存在を意識した本とは思えない書籍がある。何かを説明する本としては、この様にペダントリィとレトリックに満ちているというのは言語道断である。この本も入門と謳ってはいるが、専門用語が多くフェミニズムに関する知識が全然無い人が読んでもサッパリ分からないだろう。専門書ならばまだしも、想定読者が初級者であるはずの入門書としてはあるまじき行為と言えよう。基本的に、中に書かれていることは専門用語で叙述されたフェミニズムの歴史といったところで、フェミニズムの興りから現在までをざっと説明している。そういう点からも、どちらかと言えばフェミニズムやジェンダー学を専攻する学生が授業の副読書として読むのに適しているのでは無いだろうか。
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入門とか言いながら、専門用語を解説なしで使っちゃってるのはどうなのよ…。
内容も手軽に読める系の本というよりは専門色が濃い感じ。
けれどある程度フェミニズムに興味が湧いたという方にはかなりオススメします。
フェミニズムの細かい分野や、歴史が多少難しいながらもわかりやすく解説されています。
フェミニズムの深遠な世界が垣間見れる感じかな。フェミニズムって女性のためのものというよりは人間のためのものであり、性の社会学というものは考える程に解らなくなってくる。というのが感想。
こうなってくるとジェンダーなんて実は人間が自分勝手に決め付けた下らない約束事なんじゃない?とか思ってくるのではないでしょうか。(私は常に思ってるけど。)
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[ 内容 ]
男性の、男性による、男性のための思想体系がいかに虚構と欺瞞にみちているか。
フェミニズムの問題提起によってなんとあっけなく揺さぶられるものにすぎないか。
近代主義から近代批判、イリガライやクリステヴァなどのポスト・モダンに至るまでのフェミニズム思想の破壊力の変遷をたどりつつ、さらにリプロダクション、性暴力、国家と性など最も現代的なテーマに果敢に挑戦する。
現代の生と性の意味を問いなおす女と男のための痛快なフェミニズム思想入門。
[ 目次 ]
第1章 フェミニズムの快楽
第2章 フェミニズムの潮流
第3章 日本のフェミニズムの展開
第4章 フェミニズムの理論的挑戦
[ POP ]
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☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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▼僕は基本的に「善か悪か」の二元論は信じないようにしている。だから「男か女か」的発想に基づくフェミニズムも、訝(いぶか)しんでいる(その点は、筆者も同意見のようである)。
▼紹介されていた“理論”の形容のされ方、言い回しは、センセーショナルなものが多かったものの、その内容(=理論構成)は、不鮮明なものも多く見られたように感じた。結局「**でない」と主張するためには、先立つ**が必要で、結論は相対的にならざるを得ないのである。
▼また、フェミニズムという衣を纏(まと)った人権[人道]アプローチの危険性も看過すべき問題ではない(もっとも、この問題は広く一般的である)。私たちの考えている“正しさ”が、彼女(彼)らが本当に求めているものであるのか、常に自問し続けていく努力が大切だろう。
▼平等であることが、常に公平であるとは限らない。公平であることは、時に不平等なのである。そのために必要な違いは、むしろ積極的に認めても良いのではないだろうか。その勇気が、マッチョ[macho]なフェミニズムを超える、新たな社会を築く原動力になるのだと信じたい。
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序論的な位置を占める第1章の「フェミニズムの快楽」と、フェミニズムの諸潮流を明快に整理した第2章、日本におけるフェミニズムの展開を追った第3章、フェミニズムの主要トピックを解説した第4章から成る。
全体的に手堅い入門書という印象の本。第2章「フェミニズムの潮流」はかなり切り詰められているが、第3章「日本のフェミニズムの展開」は、新書サイズの入門書としてはかなりていねいに解説されていると思う。
戦前の日本におけるフェミニズムでは、平塚らいてうや高群逸枝の本質主義的傾向が、国家的使命を掲げる女性原理へと回収されていったことや、女性による平和や連帯を唱えて現実の階級差別や侵略戦争を隠蔽する彼女たちの言説を批判した山川菊枝の立場について触れられている。他方で、平塚という存在が、共同性の中に埋没していた女性たちの情念を言説化してゆく中心としての役割を担っていたことにも触れている。
一方、戦後の日本におけるフェミニズムについては、ウーマン・リブ運動が男性中心的な性と愛の批判をめざしながら、男性原理を内向させていた自己の解剖へと内面化していたことが解説される。また、80年代に記号論的なマルクス主義フェミニズムを謳い上げた上野千鶴子の活躍の背後で、現実の中で進められた高度管理社会の権力作用の解明が置き去りにされてしまったという、著者自身の批判も提出されている。
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国立女性教育会館 女性教育情報センターOPACへ→
https://winet.nwec.jp/bunken/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=BB10010493&opkey=B160887210783734&start=1&totalnum=20&listnum=1&place=&list_disp=100&list_sort=0&cmode=0&chk_st=0&check=00000000000000000000
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再読。わりとダメな部類の本だなという感じ。フェミニズム思想史としてはラディカルフェミニズムの賛美にページを割き過ぎており、リベラルフェミニズムとかマルクス主義フェミニズムのような重要な派閥への言及が不足している。ラディフェミ以外の派閥への評価も中立的な立場から公正になされたものとはいいがたい。あと第3波フェミニズムの理解が一般的な理解と違ってるよね。ラディフェミは一般的には第2波でしょ。ポストフェミニズムを含む一般的な意味での一番新しい思想潮流への言及を欠いている。
かといって入門書としては悪書で、「男根中心社会」のような人文寄りのフェミニズムでしか通用しない用語をたいした説明もなく持ち出したりするので読みづらい。
青鞜周辺の日本のフェミニズム思想史の解説のみ、すっきりとまとまっていてよかった。
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フェミニズムの歴史、種類、日本におけるフェミニズムとその問題点がすっきりまとめられていて初学者の自分にとってはとても良い内容だった。
特に日本のフェミの歴史について、はじめてすっきりわかった。
それぞれの派に対する評価や偏りはともかく、今後自分のフェミニズムを勉強していくうえで軸になる一冊。
絶版であることがもったいない。