投稿元:
レビューを見る
戦国時代の軍装や戦の作法、食文化や服飾について解説。
読みどころは、現存している戦国武将の手紙をもとに、食や酒などについて解説する下りなど。
とくに、上杉景虎(謙信養子)などは、大変な大酒飲みであったようで、父(北条氏康)から、申し送り状をもらっているほど。
1.大酒をやめて、早起きしなさい
2.勝手に城下町に出て夜遊びをしないこと。
3.家臣のところに出向いて大酒を飲んだり、暴れたりしないこと。
この3つを破ったとの噂を聞いたなら、永く「義絶」いたします。
酒が親子の縁を切るほどの大事なことになっていたりと、人間的な面がうかがえつつ、当時の酒の流通についても言及している。
また、陶器の受給が伸びたのもこの時期であるらしい。
上は天下の名物から、下は生活用品まで、全国の受給を支える六古窯(瀬戸・常滑・越前・信楽・丹波・備前)と流通網の発達があったと考えられる。
また、これは妄想なのだが、瀬戸・常滑は尾張である。
陶器によって得られる莫大な利益を織田信長は幼いころより知っていたのではないか?
また、後年は越前・信楽・丹波などを支配することにより、陶器の独占支配が可能になり、陶器の新しい「価値」を創造することができたのではないか?
「茶碗=一国」という価値は、それ以前の日本には見られなかったものであると思います。
陶器の生産地を独占することにより、陶器の価値を上げる魔法を産み出したと仮定した場合、商売上手な織田信長像が浮かんできました。
そういう意味で、この時代に対する新しい考察の機会を与えてくれた、愉しい本でした。