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児童精神科の先生にお薦めしてもらった本でした。先生は内容がちょっと古典的かもしれないけど…って言ってたけど、3年で学んだのは限定された臨床分野で、そもそも児童精神学の知識をほとんど持ち合わせてないから古いのかどうかもわからなかったです。春休み頑張って勉強します。
小倉清先生による出産から高校生までの子供の行動に対する解釈・分析が書いてあります。小学生から高校生に関しては自分が歳が近いせいか、なるほどと思うことは見つけられませんでしたが、乳児期・幼児期における分析は面白かったです。
乳幼児における人見知りは保護者との間の分離不安で、それが発現しない方が問題が隠されている(自閉症・拒食症の子供とかにはないらしい)とか、いないいないばあやイヤイヤ期自体が分離不安を解消するためのトレーニングだとか、保護者との間で適切な排便行為(保護者との信頼が最も必要な行為の1つ)を行えなかった乳幼児は強迫障害になりやすくなったり、社会参画への意欲が低くなりやすくなる(これに関しては本当かよって思う…)みたいなことが書いてありました。
色々書いてある中で一番興味深く思ったのは出産外傷説(出生外傷説)ですね。これは、胎児にとって安定した胎内から外へ出る出産は生理的分離による外傷体験であり、後年成人してからも人との精神的な分離に際して、その中に象徴的な形で再現され、あらゆる不安の原型となるという考えらしい。本著にはオリジンが書いてなかったけどオットー・ランクのアイデアでした。
ランクはカウンセリングおいて、あらかじめ期限を設定して次第に分離に向けてカウンセリングを進展させるという中断療法を行なったらしい。出生の分離を安全な形で再体験を行うことでトラウマを克服しようみたいな感じなのかな。結構乱暴な気がするけどね。出生外傷説について書かれた簡単な本読んでみたいなと思いました。
凄く簡単にまとめちゃうと児童精神学では特に母親(最も触れ合う保護者)に関連する転移体験を重要視して診断を行うってことなのかな。