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紙の本

豊饒な音楽と、饒舌な文章と

2002/06/29 22:41

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:HRKN - この投稿者のレビュー一覧を見る

矢代秋雄、その創作活動の全盛期に唐突に亡くなってしまった作曲家である。遺された作品は寡少であるが、その殆どが現在も演奏し続けるに値する魅力を湛えたものだ。日本フィルハーモニー交響楽団からの委嘱による「交響曲」の壮大な楽想、刺激的なオーケストレーション、第三楽章の官能的な旋律。日本交響曲史上に燦然と輝く成果である。尾高賞を受賞した「ピアノ協奏曲」の揺るぎない構成感、その機能を使用し尽くした独奏ピアノ、最終楽章のスリリングな疾走。協奏曲を楽しむに必要なエッセンスが横溢している。この二曲の存在だけでも、矢代の名は長く語り継がれることになるはずだ。

そんな矢代の音楽観を、この論集で知ることができるのは幸運である。彼持ち前の批判精神、音楽上の広い見識、それら矢代の創作のバックボーンとも言えるものを存分に味わうことができるのだ。矢代の熱い語り口は臨場感満載であり、彼の音楽作品を彷彿させる。

例えば、フランスの作曲家ジョリヴェに対する文章、矢代は「私にとって、この作家は、全く不可解である。いや、そう言っては嘘になる。はっきり言ってしまえば、大嫌いである」と真っ先に書く。毅然と第一主題を提示する「交響曲」の率直さと同じものだ。一歩間違えれば独善的に過ぎる口調に陥る危険もあるが、そう感じられないところが矢代の真骨頂だ。そして更に「まず、私はこの人の顔が嫌いだ」と来る。危ない。「ピアノ協奏曲」のスリルに近い。もちろんジョリヴェの創作姿勢・作品への的確な批評があとに続くからこそ、バランスが取れ、緊張と弛緩の演出ができているのだ。音楽的である。他にも、ショパンの作品の構成力、戦後の代表的な音楽作品選出、作曲家三善晃への賞賛、自作の説明、指揮者ジャン・フルネやフルート奏者ランパルへのコメント、など、音楽を好む人間にはたまらない文章が数多く収録されている。どれも膨大な音楽的知識に裏付けられた、大いに肯かされる内容だ。自作を語る部分では、譜例もいくつか掲載され興味深い。

早くに亡くなった矢代の情熱、音楽への愛は、数少ない音楽作品に封じ込められていると同時に、本書にもまた在る。読むたびに、矢代の主張・音楽が生き生きと表出してくるようである。

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2015/06/11 12:12

投稿元:ブクログ

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