紙の本
職人技に徹した短編集
2020/01/22 22:31
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投稿者:テトラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
政財界のVIPのみを会員とする調査機関「探偵倶楽部」。眉目秀麗な男女のコンビが事件の謎を解く連作短編集。
政財界や富裕な家庭専門の探偵という事で、政略や欲望や愛憎の渦巻く泥沼劇の、ロスマクのような家庭内の悲劇を扱った作品なのかと想像したが、全くそんなものではなく、探偵倶楽部の2人も現実から浮いた戯画的なキャラクターとして創造されている。そして各編に共通してあくまで東野の筆致はライトであり、内容は基本的にオーソドックスで2時間サスペンスドラマ用のストーリーとも云える。私は特に『家政婦は見た!』シリーズのようなテイストを感じた。
通常のシリーズ物と異なる本作独特の特徴はと云えば、シリーズキャラクターである探偵倶楽部の2人は実は物語においてサブキャラクターであり、あくまで主役は依頼人だということだろうか。だから探偵倶楽部の2人はその外的特徴が語られるのみで名前さえも判らない(最後の「薔薇とナイフ」で助手の女性が手掛かりを手に入れるために立倉と名乗るが恐らく偽名だろう)。
つまりシリーズキャラとしては異常に影の薄い存在だ。そして物語は常に依頼人側の視点で語られるため、探偵倶楽部の調査方法は全く謎のままである。
更に「偽装の夜」を除く各編では、事件が起こり、警察が介入して合理的な推理が一旦事件は解決する。そこから探偵倶楽部による新たな真相というのが物語に共通するパターンであり、単純な謎解きに終始していないのがこの作者としてのプライドなのだろう。
各5編に共通するのは動機が全て恋愛沙汰や財産問題というベタな設定であること。
「偽装の夜」では社長の財産が動機であり、更に秘書と内縁の妻江里子が実は愛し合っているという関係。
「罠の中」でも金貸しの叔父に纏わる人間たちの金銭問題、そして物語の終盤では叔母と利彦の秘密の関係が明かされる。
「依頼人の娘」は事件が妻の浮気の末の駆け落ちの阻止。
「探偵の使い方」でも浮気と保険金殺人が主題。
「薔薇とナイフ」はネタバレを参照していただくとして、先にも述べたように2時間サスペンスドラマによく見られるテーマばかりである。
この頃の東野圭吾作品は『鳥人計画』以降、『殺人現場は雲の上』、『ブルータスの心臓』そして本作とノベルスで上梓されたミステリが連続して刊行されており、逆に東野氏はキオスクミステリに徹して軽めの作品を書くことを意識していたようだ。
つまり普段、本を読まない人が旅行や出張といった旅先で軽く読むために駅のキオスクで気軽に買って気軽に読め、車中で読み終えてしまうことのできるミステリである。その事について是非は私個人としてはない。
島田氏がエッセイでも云っていたが新進作家の生活は苦しく、作家活動だけで食べていけるのはほんのわずかの人間である。生活の糧を得るために広く読者を獲得する必要があり、こういうライトミステリに手を出さざるを得ないのが当時の状況であった。
したがってこの手のミステリに読書を趣味とする人間やミステリ愛好者があれこれいちゃもんを付けるというのは全く筋違いという物だろう。
が、あえてその愚を犯すならば、やはりそれでも島田氏の短編にはミステリとしての熱があり、クオリティも高かった。
それに比べると東野氏は各編にツイストを効かせているものの、登場人物の内面描写、風景描写、気の利いたセリフなどを極力排しているがために、小手先のテクニックを弄しているという感が拭えず、職人に徹しているなあと感じてしまう。それも創作作法の1つだが、もう少しミステリとしての熱が欲しかったと思う短編集だ。
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金持ちしか相手にした探偵倶楽部が活躍する短編集(中編と言った方がいいかな)。探偵倶楽部の男女2人のキャラクターが謎めいたなかなかいい雰囲気を持っています。
作品自体は、「偽装の夜」「探偵の使い方」はなかなかの秀作と思いました。しかし、それ以外は少々物足りたいというか(と言っても面白いのですが)平凡と言う感じです。
謎解きの探偵が主人公になりがちですが、この作品集は、探偵が黒子で、犯人(もしくはそれに近い人)が主人公になっています。そんな試みは面白いものです。2003.10.23
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胡散臭い題名だなぁ(^^;)
内容は胡散臭いと言うか、「探偵倶楽部」がどういう組織なのかあんまり書かれてないから、ちょっと不気味。
それに、1話ずつの登場人物が多くて、ちょっと混乱。
5人以上出てくるときは、別記して欲しい・・・(あたしの記憶力の問題?)
警察が事件を解決するんだけど真相は別にあって、それを探偵倶楽部が解明する。
だから話の展開が面白い。
でも真犯人が分かっても、探偵倶楽部は依頼者に報告するだけなのよ。
そんな悪いことした人たちを放って置くのかい!?
真相報告したところで終わるから、すんごい物足りないのよねぇ。
んんん・・・なんか気持ち悪い。消化不良だわ。
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探偵小説のパロディ。
さすが東野圭吾というかんじ。
笑いが止まりません。
読んだことない探偵小説だと思います(^ω^)
笑いにはしっていながらもちゃんとトリックも成立してるところがすごい。
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人のレビューを見てわかったが、どうやら探偵モノと期待したぼくがいけなかったようだ…。
2人の探偵は主役になっていなかったらしい。
あまりのつまらなさに、途中で捨てたっけ…。
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たまたま2010年11月2日、息子の文化祭のバザーで50円で購入。短編5話で1話の「偽装の夜」は、たまたま2010年10月22日、金曜プレステージ「東野圭吾ドラマスペシャル」でTV放映。85ページ分が2時間番組。偶然が重なり不思議な気分。
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会員制の探偵があるという。お金持ちのだけが使用できる、秘密絶対厳守の探偵で、表に出てくるのは常に男女2人のみだが、お金持ち特有の遺産問題や、家族内で起きた複雑な事件を解き明かす。
悪い意味で「東野圭吾」らしい短編集というべきだろう。
むやみに多くの名前(=登場人物)が出てくるが、それらの人物にほとんど特色がないため、犯人を分かり難くしたりトリックのために登場するその他多くの人や人間関係を把握し難い。よって、トリックだけが全面に出てきているというイメージが強い。
やはり東野圭吾は、小説よりもドラマ化されたもののほうが面白いのか・・・。ドラマ化されたものが面白いだけに、非常に残念な気分になる。
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読み終わってすっきりする。ミステリはこうでなければいけない。話の展開も布石もさすが。
本と直接の関係はないけど、ぱっと本を開いた感じの書体と行間、文字の大きさがすごく好きな感じで読みやすかった。
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【あらすじ】
「お母さん、殺されたのよ」―学校から帰ってきた美幸は、家で母が殺害されたことを知らされる。警察は第一発見者である父を疑うが、彼には確かなアリバイがあった。しかしその言動に不審を抱いた美幸は、VIP専用の調査機関“探偵倶楽部”に調査を依頼する。探偵の捜査の結果、明らかになった意外な真相とは?冷静かつ迅速。会員制調査機関“探偵倶楽部”が難事件を鮮やかに解決。
【感想】
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短編とは思わず読んでいた。2話の途中で気づく。
会員制の探偵クラブなんていうのは、実際の世界ではあるのだろうか。
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「探偵とはこういうものだ」
富豪を会員とする探偵倶楽部。
美貌の男女が調査に当たる。
事件が起こり、そして、探偵が呼ばれる。
これこそ現実的な事件の過程。
そう思うとコナン君とかww
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短編集。
最初の話は読んだ事ある気がしたけど…
ドラマ化されたやつかな?
探偵倶楽部だけど、探偵はあんまり出てこない(^^;;
短いながらも、よくまとまってる。←w
けど、個人的にはやっぱ長編が好き!
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昔ながらの短編ミステリー風推理小説。探偵クラブと称する男女の探偵が謎を解く。あまり後に残らなかった。やはり昔の東野作品はこんなもんかな!
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当方の勝手な思い込みだろうが、東野圭吾って異様に外れ率が高い。
この本はまさにそのど真ん中、何だろうこの生温く薄っぺらな感じ。
この人が現在最も売れている作家というのは個人的には少々理解不能なんですな。
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連作短編の推理小説。
主人公ってものがいなかったためか、入り込めなかった。
探偵倶楽部の2人目線で読みたかったかな~。
普通にさらりと読みました。