投稿元:
レビューを見る
初版が1996年。古本を購入したのはいつだったか?振り返ってみれば、ペレストロイカからソ連崩壊に至る経緯についての考察についてあまりしっかりと読んでなかったと気づいた。この本は経済学からソビエト経済史にも精通する目からソビエト連邦崩壊の経緯が綴られている。滑稽なのは経済をイデオロギーで定義しようとしていること。今から見るとナンセンス。当時のソ連の国会、共産党大会などの公式演説、議論の中身から当時のソ連の経済問題を指摘し、改革の方向性を探るアプローチは、報道から劇的なゴルバチョフのパフォーマンスに改革の勢いを感じたのと比べて改革がほとんど進んでいなかったことを指摘し、改革を訴えるゴルバチョフ本人でさえ、官僚制の既得権を手放せないでいる姿勢を浮き彫りにした。ソ連崩壊の悲劇は、その後の国の為政者、経済を動かす者達から社会主義思想を軽視する姿勢を持たせたことだったのではないかと思う。
その後の非正規雇用問題、格差社会の広がり。社会主義国家の為政者がスターリン全体主義、秘密主義など恐怖政治となって国民から嫌悪されて終わったことの悲劇。真の理想の社会主義、労働者本位の社会とはなんだろうと思う。