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紙の本
背中をポンとたたいてくれる本
2002/02/09 13:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:青木 春重 - この投稿者のレビュー一覧を見る
はじめてこの本を読んだ時には正直いってギョッとした。ガムの万引きの話とか、ありんこをふみつぶしちゃう話とか、友達に嫉妬して嫌いって怒ってる話とか…「こんなの子供に読ませちゃっていいの…?」と、本棚に眠ったままになってました。ところが、子供達の年齢が上がると共に、この本の本当の意味が見えてきたんです。
いい子、やさしい子、はたまたヒーロー的ないたずっらっ子…etc,のお話はたくさんあります。子供達は、それぞれに感動したり、憧れたりするだろう。でも、子供の心の奥底のポッカリあいた暗い穴に光を射し込んでやれるのは、こんな本なんじゃないかな。家庭でも学校でも、「清く、正しく、美しく」と教えられるけど、ついつい悪いこともしちゃえば、思いやりなんて持てない時もある。嫉妬もすれば、イライラしたり、無気力になる時もある。「ほんとに私って、どうなっちゃてるの…?」と、自分で自分をもてあましてしまうこともあるだろう。
「ないしょ」にしておきたいそんな自分の姿に、この本は、光をあててくれる。「大丈夫だよ。自分を嫌いにならなくていいよ。」と、ポンと背中をたたいてくれる。
後藤竜二さんの文に負けず、長谷川知子さんの絵も表情たっぷり、ユーモアたっぷりに描かれていて楽しめます。
子供達に、ぜひ手渡してあげたい本です。
紙の本
いつだって胸いっぱいの子どものないしょ話。
2000/09/01 17:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:長崎夏海 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつだって、胸いっぱいの思いをかかえている子どもの心を、ないしょ話をするように描かれている絵本。
だれにもいえないひみつをかかえて、ありさんをぎとぎとにふみつぶしちゃう思い。万引き。やきもち。地球がサバクになっちゃう恐怖。なんだかやるきがない感じ。なんだかなっとくしない思い。
良いとか悪いとか、そんな判断はいっさいなし。だってそう思うんだもの……というところがていねいに描かれている。だから、私って嫌なやつかも……と落ち込んじゃった時に読むと、ほっとできる。自分の中に生まれた感情は、全部自分のもの。責めたり、落ち込む前に、大切にしようよ。そんな気分になれる。
楽しいないしょ話もたくさんある。雨のさかいめを見たり、ゆうくんをすきってむねをはったり、りんごの木が飛ぶ話をした男の子と出会ったり、ぜんぜんできなかったテストのうらに書いた落書きにはなまるをもらったり……。
芽をだしたあさがおをみてよろこぶおかあさん。赤とんぼをゆびにとまらせるおとうさん。人って、いろんな風景と、いろんな人と、いろんなできごとのなかで生きてるんだねと、思わせてくれる。
絵は長谷川知子。毎日を精一杯おくる子どもを生き生きと描いている。
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