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村上春樹の翻訳の中では一番の作品っしょ。
カポーティの「冷血」と同じジャンルだけど、こっちの方がさらに深い。犯罪者の兄を持った弟と一家の自伝。感情移入しすぎると危険!
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人の思念、信じる力の強さの怖さを語った本。宗教観と日常を守ることが人に与える影響の強さ。人を傷つけたり追いやったりすることの可能性を含んでいることであるとうことを考えられない固定概念。
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村上春樹がエッセイで『心臓を貫かれて』を是非読んで欲しいと書いていたので、本屋で見つけて即購入した。この本はノンフィクション。殺人を犯したゲイリー・ギルモアとその家族の話である。
−−−ギルモア一家にとりついた死霊の系譜が語られていく。でも、本当に怖いのはむしろ生きている人間である。−−−
ゲイリー・ギルモアは二人の青年を射殺。弁護士を通じて死刑を要求し全米から注目されるなか執行される。当時、死刑の廃止の潮流にあったアメリカの流れを変えるきっかけになった。
この本はゲイリーの実の弟マイケルが書いた本。
母ベッシーは
『奴らはゲイリー1人を殺せば、それで満足なんだ。アメリカで処刑される人間は、もうこの先出てこないよ。あのろくでもないモルモンどもは、私が憎いから、かわりにゲイリーを殺したのさ。あいつらがお前の弟の心臓を打って、地面に落としたんだ。』と兄フランクに叫び、苦しんだ。
村上春樹はあとがきで「トラウマのクロニクル」(心的外傷の年代記)と表している。ゲイリー自身も父親から傷つけられたり、犯罪を犯して刑務所に入り、残虐的な生活を送っている。
何度も刑務所に入るゲイリー。家族は保釈金を積み立て、ゲイリーに希望を託したが無惨にも裏切られた。更正の道は無い。
家族の繋がりの強さを感じた。マイケルは何度もギルモア家から逃げようとする。しかし、逃げられない。そして心の底では兄ゲイリーのことを深く愛している。
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殺人犯となった人間とその家庭について、兄弟が淡々と語る本。読むたび救われた気がするのは、幼少時が地獄だったという人だけではないよね...?
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本は基本的には楽しんで読むものと思っているし、たいした本でなくてもそれなりの面白さは見つけられるもの。
でも時に、というか、まれに、苦行を強いられているような気分になる本もあります。
つまらない、という意味ではなく、つらい、という意味で。
でも読むことをやめられない、やめてはいけない、そう思わせるような本。「心臓を貫かれて」はまさにそんな本でした。
1977年1月、一人の死刑囚がアメリカ合衆国ユタ州において、銃殺刑により死亡する。
死刑囚の名はゲイリー・ギルモア。
当時、アメリカでは死刑制度そのものはあったものの、反発も根強く、10数年の間、実際に刑が執行されることはなかった。
しかし、罪もない二人の若者を殺害し、死刑を宣告されたゲイリー・ギルモアは、自ら、死刑、しかも銃殺刑に処せられることを希望。
そのことによって一躍時の人となり、アメリカ中の、世界中の注目の的となった。
ゲイリーはなぜ殺人を犯すことになかったのか。
そして、なぜ銃殺刑を望んだのか。
実の弟であるマイケル・ギルモアがゲイリーの、そして家族の、呪われた歴史をひもといていく。
これはかなりこたえました。精神的に。
それでも読み終えることができたのは、結局、「なぜ人を殺すという行為に及んだのか」ということに興味を持たずにはいられなかったから。
殺人という重い罪を犯すにはそれ相応の背景があり、きっかけや理由がある。
でも「動機はこれ」「このことがきっかけ」と簡単に説明できるようなものではなく、様々な出来事が重なり合い、影響しあい、時には人の手ではどうにもならない宿命的なものも加味され、事件にいたっているのだということ。
もちろん、殺人は決して許されない行為だし罪を贖う必要はあるけれど、ニュースの切れ端やメディアが作り上げた犯人像だけを元に、被害者でもない一般人が、犯人に対し、石を投げ声高に罵倒し罪を糾弾するようなことは間違っているということ。
読み終わったときに、そんなことを感じました。
これはどちらかというと、加害者寄りの考えかもしれない。
加害者の肉親が書いたものを読んだから、なのだと思います。
内容は重いけど、読んだことのない方にはお勧めです。
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怖すぎ。生れ落ちた瞬間に運命を決定付ける 血 の恐ろしさ に たじろぐばかり。。 呪われた 血 に 救いはないのだろうか。。。 しかし アメリカ人は野蛮だな。法も秩序もない中世の話みたい。
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幽霊が出るシーンが怖すぎて、ホチキスでとめておきたいくらいだった・・。
そこらへんのホラーより怖かった。いまだにあのシーンは読めない!!!
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親から子へと流れる血の絆。断ち切ろうとして苦しみ又求めて得られない愛に乾く。亡霊と理不尽な暴力、あるいは宗教の混沌とした一族の歴史。親の歪んだ愛や愛の欠如が、子どもに及ぼすトラウマの連鎖。
そして、死刑と更生について、考えさせられた。
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ただの犯罪者について書いた本とちがうのは、実の弟によって書かれたレポートだということ
それはしばしば個人的な主観も混ざるかもしれないけど同時にゲイリーと家族が置かれていた状況がいちばんよくわかる立場でもある
マイケルが、ゲイリーが犯罪者になった原因としてあげているのは
①家系にとりついた怨念のようなもの
②父親の虐待
③刑務所での虐待
という感じ
おそらく一番つらい思いをしながらまじめで親思いになった長兄フランク、荒れたゲイリーとゲイレン、唯一父親から愛され自分の人生を生きることができた「僕」末っ子のマイケル
なぜゲイリーが犯罪者になってしまったのかはわからない、ただマイケルは①の怨念のようなもの、あるいは幽霊的なものをかなり重要視しているみたいですね。家で声が聞こえたとか、なにかがいたとかそういうようなこと。もちろんそんなのは思いこみだろうけど、それほどに強く「思いこんで」しまうこと自体が恐ろしいと思います
ゲイリーはこういう家で育ったし、彼が壊れてしまうまで誰も助けてはくれなかったし、ときにはもっとひどい状況へ送り込んだわけだし。根気強い治療を行うならまだしも、ぱっと社会に送り出してうまくいくわけがないですよね
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歪んだ夫婦から産まれた兄弟を中心とした、歪んだ家庭の話。読みやすいが、読み進めるにつれ気が重くなった。
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闇」などという言葉は簡単すぎる。軽すぎる。あまりに表象的すぎる。
やってしまうのとやらないのと、あっちとこっちの境は一体どこにあるのだろう。
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随分前に姉にこれ、読んだら、と薦められた本です。ちなみにそちらは原書だったし、何の本?と聞いたら死刑執行された人の弟が書いた本、といわれなんとなく読む気にならず置いておいたのですが。図書館に行ったら日本語訳があったのでまあ日本語なら、と読んでみました。
ものすごく時間がかかりました。長いですし、話題は暗いですし。
今自分も大人になったので親になったからと言って完璧であったり、いつでも正しくあったりすることは不可能だということは理解しています。が小さな時分には子供にとって親と言うものは絶対であり、大人は完全で正当なものである、と言う観念があったよう思います。
まあでも親を乗り越えられるだけの力があったなら彼の人生は又変わったのでしょうか。難しい問題です。
作者は上手に辛い自身の家族から逃げ出したのだ、と書いてあります。確かに人生のほとんどをささげながら報われなかった長男が気の毒でなりません。が、この本の登場人物たちは皆同情などは欲していないのでしょう。きっと。
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ゲイリー・ギルモア事件を弟のマイケル・ギルモアが書く
荒廃、ゴースト、永遠の死霊、逃れることのできない伝承・遺産、
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自分の人生がどこでどうなって今に至ったのか。誰でも考えることだけど、「これだ」と言える一つのターニングポイントを見つけ出す(選び出す)まで徹底する人はいない。『心臓貫かれて』は、自分の人生がなぜDVとか殺人とか血塗られたものになってしまったのか、それを生まれる前まで遡ってターニングポイントを探す話。結局、見つからずじまいなんだけど、捨てられた子犬のように過去にすがりつく姿が、痛々しかった。未来に希望を抱くことって、口で言うほどたやすくない。こういう人達が、日々同じ列車に乗って同じ空気を吸っていることを、心のどこかで憶えていたい。
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久々に凄い本にあたった
しかもフィクションなのに小説のように読みやすい(翻訳者:村上春樹)
銃殺で死刑になった兄ゲイリーによりギルモア一家(父フランク・シニア 母ベッシー 長男フランク・ジュニア 次男ゲイリー 三男ゲイレン 四男マイケル)は「時の人」となり、ドラマや映画で取り上げられる。この本は末弟マイケルが自分たちの家族を見つめなおす為にに書かれた。
この本が書かれた時点で生き残っているのはフランクジュニアとマイケルで、二人とも家庭を持つことはできなかった。
暴力と犯罪に明け暮れる家族の記録。