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二人が結婚してから11年になる。ワシントン郊外の大きな家、犬と猫と四つになる女の子とに囲まれた暖い家庭で、ほんとにせつないです。
こころにつきささるものがありましたね。
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香子のハルによって培われた強さ、やさしさが最後に2人の関係を終わらせる結果に至ってしまってるのがまた切ない。あんなに好きなのでなんで終わってしまうんだろう。前しか見ない人の本質、そこからはずされてしまうことがこんなに悲しいなんて想像してなかった。作品以外に解説も良かった。「このままのこの時を書く。」その短い時に至るまでこんなに素敵に書けるものなんだ。
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出会ってから長い月日を共に過ごし、目指す生活を手に入れるために共に闘い続けてきた香子と治貴。望んでいたものを掴み、同じ幸せに包まれていたはずの二人に、静かに降る別れの物語。
やっぱり鷺沢さんは良いなぁ、と思わずにはいられない作品でした。
作品に流れる空気や登場人物たちの持つ優しさや温かさ、しなやかな強さが、別れへと向かう中でもそのままにあり続け、それ故により切ない物語になっていると思いました。
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感動すると薦められたけれども、人の気持ちは移ろうもので、人生そういうこともあると思ってしまうと、涙は出ない。ただ、情景は美しく表現されていると思います。主人公の気持ちに入り込めば泣けるかも。
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私の住んでいる町の図書館は、貸し出し制限が1人6冊まで。
そうなると、自分の中で毎回激しい戦いが起こります。
自分なりの図書館めぐりのルールは、まず手には取らずに
じっくりと全ての棚を一周するところからはじまります。
次に、これは外せないという本を手に取り、この段階で10冊くらいになっている場合がほとんど。
その後ベンチに座って選抜大会を開催、惜しくも落選した本を棚に返してから貸し出しカウンターに向かいます。
カウンターに向かう途中で実用書の棚を見てしまうとここでもまた
候補が増えてしまって混乱をきたすので、なるべく足早に通り過ぎます。
最近は時間があまりないというのと、夜読むときにあまり重たい本だと疲れてしまうので(笑)文庫本の棚だけをじっくり見ることがほとんどです。
前置きが長くなりましたが、今回の本は前回図書館に行ったときの
落選メンバー。
例えば、涙をこらえるときの描写。
その文章を読んでいるだけで自分も喉がぐっとつまるような、
苦しさが文章から流れ出す。
平易な言葉をでありながらも、こんなに胸に刺さるような
リアルな描写が出来るのだと、力強い文章力に毎回感動します。
ケンカの仲直りのシーンが好き。
これ以上は内容に触れてしまうので書けないけれど、
「感涙のラストシーン」なんていう平凡な宣伝文句を書いた出版社に苛立ちを感じてしまうほど、もっともっと深いラストです。
ぐらぐらとゆれながら、一歩ずつ強くなっていく主人公をつい
自分と重ね合わせながら読んでしまい、私もこうなっていきたいと
妙な憧れを抱いてしまいました。
逡巡とか、絶望とか、希望とか、すべてがぐちゃぐちゃに入り乱れた時、やっぱり人はこんなふうになるんだろうな、それが現実だろうな、と感じたり。
俵万智さんの解説の洞察がとても深くて、なるほど…という感じなので
ぜひ文庫版でよむことをオススメします。
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『僕が学校の授業以外で初めて触れた鷺沢萌の作品。
文庫版で150ページ足らずの分量に、ある男女の出会いから別れまでの過程がすべて凝縮されていて、その濃密さ、エネルギー、情感、すべてにおいてそれまでに読んだどの小説をも凌駕していた。
最近また読んでみたが、1度目とはまた違った角度から影響を受けたように思う。
登場人物の人間的な魅力、アメリカへの憧れを誘うリアルな描写、人種や国境、常識にとらわれない自由な視点、そして人間への深い愛情。
この小説が好きすぎて冷静に判断できなくなっている気もしますが、みんなに読んで欲しいと心から思える作品です。
僕は今年のクリスマス前後はこの本を読んでひとりであったかい気持ちに浸っていました(笑)
講談社文庫から300円ちょっとで出ているのでちょっとオフシーズンな感じはありますがぜひぜひ手に取ってみてください。
それから帯の画像見て知ったんだけど映画化してるらしいですね。 』
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結婚って?家族って?
考えさせられる。
自分自身が結婚してないけど、
結婚したらまた違う見方をするんだろうな。
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断片的に過去が描写されていく恋愛小説。
結末を予感させながらも登場人物は柔らかく、穏やかに物語が進む。
もっと鷺沢萠の小説を読みたかったと思わされる。
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悲しいのだけれど、激しくなくて、穏やかなんだけど、確実に進んでく。
鷺沢さんの作品は、「こういうこと」という明確な答えは出してくれないけれど、
人間を描いているなあ、と感じます。
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どうしようもない切なさ。
どうしてどうしてどうして?って、どうしようもない気持ちでいっぱいになる。
鷺沢さんも、一枚の布を織りあげるように小説を書く人。
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ワシントンで出会い一緒に暮らし始めた香子と治貴。いつも大人で前を向いて生きている治貴。幸せだと思っていた生活は終わりを告げる。
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表紙裏
これがね、大統領のクリスマス・ツリー。治貴の言葉は香子の耳の奥に今でも残っている。ワシントンで出会い、そこで一緒に暮らし始めた二人。アメリカ人でも難関の司法試験にパスし弁護士事務所でホープとなった治貴。二人の夢は次々と現実となっていく。だが、そんな幸福も束の間・・・。感涙のラストシーン!
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ワシントンの街を、当てもなく車を走らせる治貴。香子はその助手席に座りながら、出会った頃に治貴が言った「これがね、大統領のクリスマス・ツリー…」という言葉を思い出していた。
大学生だった二人は、将来手にするであろう子供のいるあたたかい家庭のことや、煉瓦造りの家のことを思い描いては、それを信じて、常に前を向いて生きていた。そして、すべてはその通りに叶えられていった。
しかし、決して後ろを振り返ることのない治貴は、いつしか香子の手の届かない方向へと遠くなってしまっていた…。
ずっと、揺るぎない幸せの中を歩んできた二人の、別れの1コマを切なく描く。恋愛の無常をつきつけられたようで、どうにも悲しい。
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なにかの評で「最後の一言のための作品」という言葉を聞いたが、正にそのための作品。
恋愛について、家族について、と切り口はいくつもあるが年月を経ることとはどういうことかを丁寧に描いていてとても好い。
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もしも自分が当事者なら、こんな別れ方はできないな。
最後の一言が言えるぐらいに成長したいなって思える一作。