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日めくりカレンダー方式で、1日1曲を紹介しており、1年かけて読み終える読む様に書かれている。私は5日間かけて初めから終わりまで通して読んだ。
主に音楽家の生まれた日、没した日、名曲の初演日に当てはめて楽曲紹介をしているが、あまり厳格ではなく、何日かズレていたり、季節感(梅雨、夏休みなど)や、日本の暦(文化の日や七五三など)や、記念日から連想した曲を紹介しているのが特徴である。
また、「クラシック珠玉の小品」を2冊著している著者だけに、小品を多く取り上げているのも特徴である。
一例を挙げると、4/1はブゾーニとラフマニノフの誕生日である。普通ならブゾーニか、ラフマニノフの名曲を取り上げそうなものだが、本書ではエイプリルフールにちなんだ曲として、作曲者を偽って発表したクライスラーの「ウィーン奇想曲」を取り上げている。正攻法ではないユニークな発想が微笑ましいではないか。
曲の紹介自体は概要だけで詳しく紹介しているわけではないが、解説は他の本に譲り、該当日に「今日はこの曲を聴いてみるのも良いかもしれない」という気楽さで付き合うくらいがちょうど良さそうである。
1日あたり560字程度で、平易な文体で気軽に読める様になっているので、入門書から上級者まで誰でも楽しめる本に仕上がっている。巻末に作曲家別索引が付いているのも便利である。
日めくりカレンダー方式の曲紹介本は他にも所有しているが、本書も、気が向いた時にめくってみて、該当日を読み返そうと思う。