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ちょっと涙してしまいました。
戦争のお話かなって最初は思ったのですが、そうではなく、お母さんと子どもの絆のお話。
戦争中、お母さんから「アリババと40人のとうぞく」の話をしてもらい、「ひらけ ゴマ!」の呪文が忘れられなかった男の子。
この呪文をつぶやくたびに、なぜか心がうきうきする。
学校から帰って「ひらけ ゴマ!」と言うと、お母さんがアリババに出てくるお手伝いさんのように「お帰りなさいませ」と言ってくれた。
男の子はお母さんといっしょにいれば、どんなことでも我慢できると思った。
やがて戦争は終わり、男の子は東京に出て、孫ができるくらいのおじいさんになる。
時々田舎に帰る。でも帰るたびに、お母さんは遠い人になっていく。
そんなお母さんだけど、自分がしてもらったように、いっぱい話をしてあげたいと思う。
何かいい言葉はないかな・・・
お母さんの耳元でそっとつぶやいてみた。
「お母さん、ひらけ ゴマ!」
そして、大きな声で。
「お帰りなさいませ」
とお母さんの口からことばがもれた。
どんなに頭のなかがぼんやりしていても、お母さんは二人だけの言葉を忘れずにいてくれた。
子ども達に惜しみなく愛情を注いでいきたいと、改めて思いました。