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ヘッピリムシの屁 動植物の化学戦略 みんなのレビュー
- ウイリアム・アゴスタ (著), 長野 敬 (ほか訳)
- 税込価格:2,420円(22pt)
- 出版社:青土社
- 発行年月:1997.9
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紙の本
サヴァイバルのためのストラテジー。
2003/04/04 13:01
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投稿者:ソネアキラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ジャングルを伐採することになぜ反対するのか。それは、ジャングル自体が大量の酸素を発生させる自然のファクトリーだから。それと、ジャングルが河川の氾濫などを防ぐ天然の堤防となっているから。この2つは、なんとなくわかったけど、もう1つ、大事なことがある。ジャングルには、まだ発見されていない人間に役立つ植物や動物や菌の宝庫であるということ。この見方って、人間本位なんだけどね。
「生物から調合された化学物質の多くは医薬であり、歴史的にそれらはたいてい植物由来である」。アスピリンのヒントとなったセイヨウシロヤナギ樹、キネ樹からマラリアの特効薬キニーネ、ケシからアヘン、アヘンからモルヒネが抽出されるなどなど。生薬ってヤツ。人間は自然をお手本に、どうすれば似た成分のものが化学的に大量に安くつくれるかを命題に、追いつき、追い越そうとしてきたわけだ。
植物というと何か穏やかな優しい印象があるけど、さまざまな創意工夫をしてアクティブに種の保存に努めている。植物人間というのは、植物に対して失礼ではないだろうか。本書では豊富な事例をあげ紹介している。たとえば、ある種類のウリは食べられないように、猛毒を持っているのだが、ところが、そのウリを平気で食べるカブト虫がいて、「彼らの将来の保護に役立てるために体内にウリの毒素を蓄積」している。これって敵方のパワーや武器を取り込んで増殖するメカキャラに似ているよね。
タイトルとなっている「ヘッピリムシ(ミイデラゴミムシ)は攻撃されると、刺激性のキノンの混合物である熱い液体を噴出し、そのときぽんというかなり大きな音」を発し、敵をびっくりさせる。また、ヘッピリムシはかなり腕利きのスナイパーであるそうだ。
クワガタのある種の若きオスは、大人のオスにやっつけられないようにメスのフェロモンをつくり出して、カモフラージュしているとか。でも、時々、迫られたりしているとか、−そういえば『バグズ・ライフ』に出てきたテントウ虫はオスだけど、かわいらしかったな−植物、動物に関する話のオンパレード。
でも、なんか題名でソンしてる。ヘッピリムシマニアは、それこそ触手を伸ばすかもしれないが。漫画やゲーム、アニメや特撮ものなどで新たな虫キャラを考えなければならない人には、すごく参考になるはず。
「自然界の豊富な化学物質は生物の世界を素晴らしい方法で結びつけており、われわれはやっとそれを理解し始めたところである。同時に、それらはわれわれ人類の利益となる産物の無尽蔵の資源を提供している。それらはこの惑星の一部分を救う助けとなることさえできるかもしれない」。
冒頭の部分と完全にカブるけど、こっちの方がカッコいいので、くどいけど、繰り返し、引用する。
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