投稿元:
レビューを見る
何故面白いのかと問われれば、彼女の中に確固たる自分が存在していて、その内なる自身の年齢幅がとても広いから、と答えたい。お仏蘭西への憧憬を夢見る少女のように語り、自分の写真が老いて見えるのはカメラと私の間に入り込む「妖婆」のせいだと子供の言い訳のように語り、「奥さんとお内儀さん」の違いを口うるさい姑のように語る彼女。身近にはウザくていて欲しくないけれど、時々はお会いしたくなるお人である。たくさん笑わせてもらった。
投稿元:
レビューを見る
ずっと森茉莉の存在は知らなかった。縁とは奇なるものである。挿し絵は佐野洋子である。この不世出の二人のくそ婆が作る美しき逸品。
投稿元:
レビューを見る
『魔利』というのは音のまんま、森『茉莉』を示しています。簡単に言うとエッセイ集です。
綺麗な物が大好きで、綺麗な物に囲まれて生きた少女(年齢ではなく心が)の話。
特筆すべきは、やはり独特の文体だと思います。
言葉に拘りを持っていて、カタカナ、漢字、フリガナの表記が本当に綺麗!慣れるまでは、 か な り 読みにくいですが(苦笑)
先ほど『エッセイ』というくくりに入れましたが、かなり詩的な文章です。
別のエッセイ『薔薇くい姫』で言葉の通り『薔薇』を『く』う場面もありましたが、まさにそんな感じ。現実離れしています。素で耽美の世界。
何を見るにも確固たる自分の視点からズバズバ切っていくのがいっそ心地良いです。こんな人いるんだ!
この本の中で私が好きなのは
『石鹸・固形香水・花の香い』
『時刻の翼』
『奥さんとお内儀さん』
の3編。
投稿元:
レビューを見る
言葉の使い方は美しいところがあるけれど、内容は薄い。
うわべが大好きなお嬢様、ということがよく感じられた。
投稿元:
レビューを見る
読めば読むほど、とにかく不思議な方だと思わずにはいられない。まず、自分の美を貫くというのが最初のイメージだった。例えば本書でも、石鹸を「せっけん」と言わずに「サヴォン」という話がある。語感としての感覚や、音とともに自分の中にある思い出を大切にし続ける。どこか子どものような純粋さだと言えるかもしれない。
かと思えば、失くしてしまった宝石の思い出を書き綴っていて、常人なら「それほど思い入れがあるものなら、なぜ失くしてしまったの」と問いかけたくなるようなところもある。この独特の価値観がとても面白い。とらえどころのないところが魅力なのだと思う。
投稿元:
レビューを見る
彼女が、薔薇だの黄金だの、色の名前を書くとき。その色は、本来以上の『くすみ』と『美しさ』をもって目の前に浮かんでくるような気がして。改めて、ああ彼女の書くこのような文章が好きなのだと思った次第。
投稿元:
レビューを見る
『ハラヘリ読書』で森茉莉の話が出てきて、すごく気になってはじめて手に取った。アクセサリイとか書かれているのを見て、そのかわいらしさについ笑ってしまう。祖母からときどきもらっていた手紙を思い出した。
「時刻の翼」は少しテイストが違う話だったけど、よかった。『もう決して触れることの出来ない「時刻」である。私たちに出来ることは、きれいな想いを頭に浮べ、きれいな動作をして、きれいな過去の重なりを造ることだけだ。』
投稿元:
レビューを見る
『ハラヘリ読書』に出てきて、森茉莉が読みたくなり図書館でタイトルと佐野洋子の表紙に惹かれて借りた。前に好きな作家のエッセイに出てきたときも『贅沢貧乏』を読み、挫折。今回は最後まで読み切れたが、やっぱり私はこの人の文章に乗り切れなかった。