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「よっしゃー網野善彦読んだる!」と思って最初に手に取ったのが「無縁・公界・楽」の方だったのだが、「言いたいことは分かるけど…何寝ぼけたこと言ってんのこのオッサン(失礼)」と思って放置していた。だけどある場所で「網野善彦氏の最大の成果は中世東寺領荘園の研究」と小耳に挟み、なんだ水物じゃない研究(また失礼)もしてるんじゃん、と本書を手に取った。しかし本格的な中世史の本なんて読んだこともなかったので一ページ進むだけで分からない言葉がいくつもいくつも出てくる。馬上免? 一色田? 雑掌? 本所? 預所?? ナニ??? ていうかそもそも何でお寺が土地なんか持ってんの?(←致命的)という調子でもういつ読み終わるんだろう…と辞書を引き引きダラダラ読んでいたら、三分の一ほど読んだ辺りから突然スッと内容が頭に入ってくるようになって、そのまま最後まで読破。読み終わる頃にはすっかり網野というか荘園史の魅力に取り憑かれてしまい「そうか、これが日本中世史なんだ!!!」と一人で興奮しきりだった。私にとってはそういう意味で記念すべき本です。